「国家保健モデル」に基づくプライマリーヘルスケア体制強化プロジェクト

ホンジュラス国の乳児死亡率や妊産婦死亡率はミレニアム開発目標(MDGs)、中南米・カリブ地域全体の平均と比較すると依然として高く、病院のほか、保健センターや保健ポスト、母子保健センターと呼ばれる保健医療施設が存在するものの、当該施設数・職員数及び当該施設へのアクセスが限られています。またこれまでホンジュラス国の保健医療施設では、治療が重視され、予防やプロモーションなども含めたプライマリーヘルスケア(PHC)に関連した活動は十分に行われてきませんでした。このようなことから、コミュニティーレベルまで十分な基礎的な保健医療サービスが行き届いていないというのが現状です。

中南米においては、2005年のモンテビデオ宣言以降、米州保健機関(PAHO)のイニシアティブの下、家庭保健(家庭を単位とした保健、医療)を基盤とするプライマリーヘルスケアが各国で推進されています。医師を含む多職種によりPHCを実践する家庭保健チームの形成や導入が推奨されており、各国で順次導入されていますが、ホンジュラス国では実践されていません。

ホンジュラス政府は、モンテビデオ宣言及び国家保健計画に基づき、家庭保健に焦点を当てたPHCの実践として「国家保健モデル」を策定しました。同モデルは、家庭を単位として、医師や看護師等の保健医療従事者からなる家庭保健チームを基盤に、巡回診療や家庭(世帯)調査等の活動を通じ、病気の予防から健康プロモーション、治療、リハビリテーションまでを包括的に実施するものです。しかしながら現時点では関連法規の整備までしか進んでおらず、同モデルに基づいた保健医療サービスを実施するために必要となる保健医療行政機関及びサービス機関の実施体制や実施基準等の整備が喫緊の課題です。

これらの状況を踏まえ、JICAはホンジュラス政府の要請を受け、保健医療行政機関及びサービス機関の実施体制や実施基準の整備等の保健省中央レベルでの政策的支援に加え、全国の中でも貧困率の高いレンピーラ県と同国内で比較的平均的な保健指標を有するエル・パライソ県をパイロット地域とした実施体制の確立・実施を内容としたプロジェクトを開始することになりました。

詳しくはプロジェクトのホームページをご覧下さい。

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「国家保健モデル」開始式

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保健所医療関係者との会合