東ジャワ州でAUTP(実損補填型コメ保険)の第3回指導者育成研修実施

2022年5月25日

農業保険実施能力向上プロジェクトでは、3月21-22日の2日間、東ジャワ州マラン県において、AUTP(実損補填型コメ保険)の指導者育成研修を実施し、計54名の農業普及員や農業普及センターの研修員、農家グループのリーダー等が参加しました。AUTPはインドネシア政府による公的農業保険として、2015年から実施されており、本プロジェクトでは東ジャワ州と南スラウェシ州をパイロット地区としてAUTPの普及促進に向けた支援を行ってきました。

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研修の参加者より発表

指導者育成研修は、AUTPの理解促進と持続的な発展を目的としてこれまで2回実施されてきました。新型コロナウィルスの影響により、過去の研修はすべてオンラインで実施されましたが、今回初めてケティンダン農業研修センターでの実習とオンライン参加を併用する形で実施されました。3回目となる今回の研修は、本プロジェクトの活動として実施する最後の研修となるため、農業普及員のみならず、Widayiswaraと呼ばれる農業省普及センターの研修講師候補者10名も参加し、今後の研修実施に向け知見を深めました。これは、持続的な研修の実施を実現するために、プロジェクトが農業省と共に、農業省傘下の農業普及人材開発庁と協議を重ね実現したものです。今回の研修に参加した農業普及センターの受講者が、今後AUTPの普及に向けた人材育成研修の講師となることが期待されています。また、今回の研修では、農家グループのリーダー10名が初めて出席した他、病虫害分析管理官、マラン県農業局職員が参加しました。

研修では、AUTPの説明、販売促進の方法、保険加入手続き、損害査定の方法、損害発生時の保険金の申請から支払いまでの流れなど、保険の販売から保険金の支払までの一連の流れと内容を学びました。また、グループワークを通じて、研修後に説明会や販売促進を行うためのアクションプランを作成しました。これまでのオンライン研修に比べ、参加者間の質疑応答や意見交換が活発に行われました。グループワークでは、農業省普及センターの研修員がファシリテーターを務め、販売促進に関する具体的な計画について話し合いました。

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Madkur氏

参加した農家グループリーダーのMadkur氏は、「今回の研修は農業保険のより良い理解につながる素晴らしい機会であった。農家へ保険加入を促すには、わかりやすい説明を聞く機会や販促のためのパンフレットなどが役に立つだろう。」と話しました。また、AUTPの販売経験を持つ農業普及員のAkhmad Nendra氏は、「農家は20%のみの保険料支払いであっても、自己負担を嫌がる傾向にある。2019年の経験では、20ヘクタール程の圃場に損害が出たが、実際に保険金が支払われたのは6ヘクタール分の損害のみだった。損害が生じても国営保険会社JASINDOによる損害査定に2週間程度かかるので、圃場をそのままにしておくくらいなら、保険金がでなくても次の農作業に取り掛かりたい、という農家が多い。」と話し、「農業保険の販売促進にはJASINDOによるパンフレットなどの販促ツールの配布や説明会の実施、そして、いつでも相談できる窓口の周知が必要。」との意見を述べました。

プロジェクトでは、2カ月後の2022年5月頃に再度パイロット地区を訪問し、アクションプランの進捗状況の確認や本研修の成果を振り返る予定です。