「イランの公共交通指向型開発を考える!」オンラインセミナーを開催-300名を超える行政官やコンサルタントが参加!

2021年6月22日

イラン事務所は、イランにおける公共交通の計画・開発を担う主要機関と連携し日本の公共交通志向型開発(TOD:Transit Oriented Development)の知見を共有するオンラインセミナーを開催しました。4月27日にイラン道路・都市開発省、5月19日に内務省地方自治局、6月2日に首都テヘラン市と協力して計3回のセミナーを開催、総勢300名を超える行政官や、都市計画・交通コンサルタントが参加し、日本の経験を基にイランのTODの取り組みや技術的な課題等について、各セミナー4時間を超える熱心な議論がおこなわれました!

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セミナーの様子1

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セミナーの様子2

セミナーでは、日本側から本セミナーのために開発したオンライン教材を用い、開発利益還元の理論を含むTODのコンセプトと経験、日本各地の各種TOD事例紹介、新宿、渋谷などのTODの現場で開発にあたった国交省東京国道事務所長(当時)、鉄道事業者担当者、開発コンサルタントへのインタビュー形式での経験が共有されました。参加者からは公共交通乗り換えの促進策、段階的なTODの導入策、民間連携や投資促進策といったイラン現地での技術的課題にかかる質疑が行われました。

イランでは道路交通が主体となっており、公共交通の分担率が低く、交通渋滞や大気汚染の要因となっています。そのためイラン政府は、鉄道やBRT(Bus Rapid Transit:バス高速輸送システム)の整備と一体的な都市開発を実現する公共交通指向型開発を推進しています。日本は、鉄道沿線宅地開発といったTODの具体事例を多く有しており、引き続き日本のTODの知見への高い関心が示されています。

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セミナーの様子3

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セミナーの様子4

JICAでは、2017年度にイランTOD基礎情報収集調査を実施しました。その結果、ターミナル駅の商業施設整備、郊外ニュータウン開発とアクセス鉄道の整備といった、調査にもとづく技術支援要請があったことを受け、今回のセミナー実施にいたっています。今回のセミナーは、コロナ禍という状況の下、日本側でのオンライン教材の開発に合わせ、現地交通コンサルタントがイラン側の関係機関を通してTODの進捗を把握し、現地側のオンラインセミナー準備を支援する形式を用いました。オンラインでの新たな技術支援の形に期待がよせられています。