カスピ海沿岸都市の廃棄物管理事業の現場視察・調査を実施しました

2021年12月29日

調査の背景と概要

近年、イランの都市部においては、農村地域からの急速な人口流入による都市化にインフラの整備が追いつかず、廃棄物の増加による都市環境の悪化が顕著になってきており、早急な対策が望まれています。イランで最も観光が盛んな、カスピ海沿岸部等の地方都市においては、廃棄物問題、工場排水や鉱業による水質汚染、廃棄物埋立地浸出水による土壌汚染、アンザリ湿原への環境汚染などの環境問題が深刻化しています。特に廃棄物埋立地が衛生的に管理されていないことによる、廃棄物から発生する悪臭や、ハエ、蚊などの発生は周辺住民が住居を移動する必要がでてくるほど深刻になっています。

かかる状況の下、JICAは2021年12月3日から12月10日まで調査団を現地に派遣し、カスピ海沿岸2州の主要都市の廃棄物管理の現況を視察し、状況を把握するとともにウェビナーを通してマスタープラン作成のプロセス等を共有、また今後の支援の可能性について協議しました。視察した地方都市では、最終処分場の浸出水処理や焼却施設導入等いくつもの解決すべき課題があることも確認されました。現地調査終了後には、首都テヘランにて、廃棄物管理を所管する内務省地方都市管理機構(MRMO)と視察結果に関する協議を行うと共に、MRMO及び全国の廃棄物管理機構(WMO)向けに、廃棄物管理マスタープラン策定に関する講義、議論を実施しました。現地視察や協議にはカスピ海岸沿い3州の知事・副知事、市長、MRMO、WMO高官等が意欲的に参加し、廃棄物問題が各地域において深刻な問題であり、イラン政府としても優先的に取組むべき課題であることが確認されました。JICAはこれからイランの廃棄物管理における支援を国別研修等を通じて実施していく予定です。

1日目:ラシュト市のサラバン処分場及び浸出水処理施設視察、ラシュト市長、WMO、処理施設責任者等と面談
2日目:ラシュト前処理コンポスト施設及び焼却施設工事現場視察、ギラン州副知事、ラシュト市長等と面談
3日目:ノーシャール市の焼却発電施設を視察、ノーシャール市長、WMO局長、等と面談
4日目:アモール市の最終処分場及び中間処理施設用地を視察、アモール市長、WMO局長等と面談
5日目:サリ市焼却発電施設工事現場を視察、TTS現場監督者、サリ市長、WMO局長等と面談
6日目:地方都市管理機構(MRMO)にてイラン全国のWMO向け会議に参加。MRMOが廃棄物管理についての国家戦略の発表、調査団はカスピ海沿岸都市の調査所見の報告とディスカッションの実施
7日目:全国Webinar開催、廃棄物管理マスタープランに関する講演の実施、ギラン州知事とオンライン会議

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サラバン廃棄物処分場視察

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ノーシャール廃棄物処分場視察

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ノーシャール焼却発電施設

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ウェビナーの開催