ケニア国では、国土の85%以上が乾燥・半乾燥地であり、森林面積は約6.1%に過ぎませんが、人々は国内総エネルギーの約70%を薪炭材に依存して生活しています。そうした中、近年では人口増加に伴う薪炭材の需要増加、農耕地の拡大、過放牧等が森林資源の荒廃や土壌の劣化を加速させており、自然資源に依存する農村住民の生活に影響を与えています。
JICAでは、森林保全・劣化防止を重点支援分野とし、特に半乾燥地における森林保全については1987年から2009年までの22年間にわたって、農地への植林を推進する社会林業強化に係る支援を実施してきました。こうした長年の支援を通じ、ケニア森林研究所(KEFRI)の社会林業普及にかかる実施体制は強化され、半乾燥地における農家の農地林造成技術は順調に普及されてきています。しかし、これらの乾燥地等では、気候変動の影響を受けやすく、樹木の生育環境が厳しい地域においては、樹木を植林したとしてもそれらが十分に生育しないケースもあります。
こうした状況に対応するため、2012年から開始された「気候変動への適応のための乾燥地耐性育種プロジェクト」では、JICAはケニア森林研究所による乾燥・半乾燥地に耐性のある造林品種の育種研究及び普及を推進しており、これを通じて、今後の農民・NGO等による植林活動を支援していきます。