「黄熱病およびリフトバレー熱に対する迅速診断法の開発とそのアウトブレイク警戒システムの構築」Development of Rapid Diagnostics and the Establishment of an Alert System for Outbreaks of Yellow Fever and Rift Valley Fever in Kenya.

  • 種別:技術協力プロジェクト(科学技術)
  • 案件名:「黄熱病およびリフトバレー熱に対する迅速診断法の開発とそのアウトブレイク警戒システムの構築」
  • 実施地域:ケニアにおける重要アルボウイルス感染症の流行地域:中央部、北東部、西部、コースト地方及びナイロビ地方
  • 協力期間:2012年1月〜2017年1月
  • 実施機関:長崎大学(熱帯医学研究所)、ケニア保健省(疾病予防・対策ユニット)、ケニア中央医学研究所(製造部門、ウイルス研究センター、アルペ支所感染症・寄生虫疾病対策センター)

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KEMRI実験室でのウサギ抗体の精製作業

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ナイロビ近郊保健施設でのmSOS導入前聞き取り調査

本プロジェクトは2011年、JICAと独立行政法人科学技術振興機構(JST)との国際共同研究推進事業である「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)」の採択を受け、長崎大学がケニア公衆衛生省およびケニア中央医学研究所(KEMRI)をカウンターパートとして2012年1月1日より実施している。SATREPSとは環境・エネルギー、生物資源、防災および感染症など地球規模課題に対し、日本の科学技術を応用し、開発途上国と共同で技術開発や新しい知見の獲得を通じて、日本の科学技術力向上とともに開発途上国側の研究能力向上を図ることが事業の目的である。

本プロジェクトはアフリカにおいて蔓延している黄熱病およびリフトバレー熱など蚊媒介性ウイルス病の疾病対策を確立することを目的としている。これらの疾病は予防法として黄熱病については人用ワクチン、リフトバレー熱については家畜用ワクチンがあるにもかかわらず経費および副作用等の問題で予防的には十分に活用されておらず, 診断薬も開発されていない、いわゆる「忘れ去られた熱帯病(NTD:Neglected Tropical Diseases)」である。市場に流通している診断薬がないため、流行がいったん発生したらその封じ込めに時間を要し、汚染地域が広がり、ついには隣国にまでおよぶ場合もある。

こうした問題に対して本プロジェクトではこの状況を打破するため、(1)地方の医療機関にて簡単にスクリーニングができる簡易診断キット(POC test:Point-Of-Care test)を開発し普及させる。(2)国のレファレンスラボであるケニア中央医学研究所のアルボウイルスラボの機能を充実させ、確定診断の迅速化および正確化を図る。(3)疾病発生状況の情報を迅速に収集、解析し対応策の指示を出す双方向性の早期警戒ネットワークを構築する。これら3つの活動を通して「早期発見、早期封じ込め」による疾病対策モデルを提案している。

具体的には、(1)については安価でフィールドや地方の診療所でも利用できる簡易迅速診断キットとしてイムノクロマト法を用いたPOC testの開発を長崎大学とKEMRI製造部門で共同して行い、ケニア国内でその評価を行い、キットの製造、販売まで視野に入れている。(2)については中和試験の習得のために日本へ研修生を派遣したり、PCRより感度の高い新しい診断法を導入する。(3)についてはごく一般的な携帯電話端末を用いて地方医療機関と中央政府を結ぶ双方向性情報ネットワーク(mSOS)を構築し、ケニア政府がプロジェクト終了後も自立/持続的に運用できる主要感染症アウトブレイク警戒システムモデルの提唱を目指す。