オロールア初等学校で授業研究会を実施

2022年1月15日

「CEMASTEA調査研究能力強化を通じた現職教員研修の質向上プロジェクト」(通称「CEMASTEAプロジェクト」)では、ケニアの初等学校で行われる研究授業の実践を、ケニア教育省の機関であるアフリカ理数科・技術教育センター(CEMASTEA)と協働して、算数と理科の2教科で支援を実施しています。授業研究とは授業向上活動の一形態で、教員がチームを組んで学習指導案を作成して実験的な「研究授業」を行い、授業後に検討会を実施して分析・振り返りを行うというプロセスを踏みます。教員を研修センターに集めて集合型研修を行う場合と違い、学校現場に根差した研修活動であります。

本プロジェクトは2019年6月に始まりました。プロジェクトの開始時には、ナイロビおよびその周辺から選ばれたモデル校の教員とCEMASTEAのプロジェクトメンバーたちは、質の高い授業研究に関して、JICA専門家の指導を受けました。そしてその成果を活動に生かすべく、いよいよ本格的に始動しつつあった矢先、新型コロナの影響により、全国の初等学校は2020年4月から8か月間の休校を余儀なくされました。このため、プロジェクトの活動はストップし、同年11月に遠隔研修で専門家の先生方の指導を受ける以外は、モデル校の授業研究活動も停滞したままでした。

2021年1月に学校が再開したものの、その後もコロナ感染対策により、CEMASTEAメンバーの学校訪問と対面式研修の実施が禁止され、活動を思うように進めることが難しい期間が続きました。こうした状況下でも、メールのやり取りやオンライン会議プラットフォームを駆使するなどして、専門家とCEMASTEAによる教員指導が続けられてきました。そして新型コロナの影響が落ち着いてきた2022年1月15日、オロールア初等学校で、授業研究会が実施されました。

研究授業は算数と理科の2教科で行われ、研究チームの教員たちは熱心に授業を観察し、それぞれの授業後の検討会でも活発に意見が交わされました。しかし、CEMASTEAメンバーや専門家の眼から見ると、彼らの授業にも、検討会における分析や議論にも、さらなる改善が必要です。そこで検討会の最後に、CEMASTEAの担当者と専門家が今後の更なる授業研究活動の向上を期待しつつ、授業研究会の進行の仕方や授業観察の着目点に加えて、学習指導案改善のポイントや、時間管理、生徒の思考を促す方法など、授業内容についても具体的なアドバイスを行いました。

本プロジェクトの実施期間は2022年3月末までです。パンデミックによる制約の中でも様々な工夫をして、ようやく活動が軌道に乗りつつあるところで終了を迎えますが、残りの期間に最大限の活動を行い、これまでの成果をまとめて、プロジェクト終了後のケニア人教員やCEMASTEAメンバーの継続的な活動に生かせる形にして残すべく、プロジェクト終了までに取り組んでいきます。

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研究授業の様子(5年、算数。テーマは「容積の単位変換」)

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授業後検討会の様子