漏水対策としての地図作成

氏名:高津 早由里
隊次:2017年度2次隊
職種:コンピュータ技術
任地:カプサベット
配属先:カプサベットナンディ上下水道信託会社
出身県:千葉県

通常は三月ごろからと言われている雨季ですが、今年はどうやら遅いようです。四月も半ばを過ぎたというのに、雨は少なく、毎日まぶしいくらいに太陽が照り付けています。私の任地であるカプサベットはケニアの西に位置しており、標高は2000メートル。標高が高い分、日差しも幾分強いように感じています。

私の配属先はこの地域の水道会社です。過去に日本の無償資金協力で上水道拡張計画が実施され、多くの家庭に安全な水を届けることができるようになりました。しかし町を歩けば、あちらこちらでその水が漏れていることに気づきます。地中で壊れた配水管から漏れた水が土を湿らせていたり、もっとダイレクトに水道管から水が噴き出て水たまりができていることもあります。それらはスタッフが発見次第、順次修理されるのですが、なかなか終わりは見えません。すべてのエリアを調査しているわけではなく、発見したら修理するという状況なので、今もだれも知らない場所でたくさんの水が失われているかもしれません。

この状況を打破するべく、私は今ここで水道管の配管地図を作っています。具体的にはGPSを持ってスタッフと一緒に町を歩き、メーターや配管の位置情報を取得しています。それを事務所に持ち帰ってパソコンに取り込み、顧客情報とあわせて地図を作成するのです。これだけ聞くとそれほど難しいことではないように思えるのですが、実際にはメーターの位置がわからず、探し回って人に聞いて、まるで宝探しをしているかのような毎日です。メーターが地中に埋まっていたり、すでに切断されてなくなっている場合もあり、登録されているすべてのメーターを発見するのは非常に困難です。

このような状況になっている原因は主に二つあります。
一つはメーターの位置情報がそのエリアを担当するメーターリーダーの頭の中にだけ存在していること。その担当者と一緒に行くことができれば話が早いのですが、なかなかそうもいかないため、大体の場所を聞いてから出発することになります。彼らは日常生活でもあまり地図を使わないため、場所を示すときは近くの建物やドアの色などが目印です。もちろん一人ではなくGIS担当のスタッフと出かけていますが、それでも探すのは容易ではありません。

二つ目に顧客データが適切に更新されていないこと。新しい顧客の登録はされても、料金未払い等で切断された顧客のデータはそのままになっていたり、メーターを交換してもその情報が更新されていなかったりと、場所と情報を紐づけるのも一苦労です。

結果として作成には時間がかかっているのですが、漏水や盗水を減らすためには地図は必要不可欠だと思っています。地図を使って全体を見て、それをスタッフみんなで共有することができれば状況は好転していくはずです。赴任してから一年間は他の問題や人手不足などで地図作成に手を付けることもできない状態でした。それに比べれば今は専任のスタッフもおり、ゆっくりではありますが着実に前に進んでいると感じています。

今年は雨季が遅く、この水道会社が管轄している二つのうち片方の地域ではダムの水がほとんどなくなってしまいました。ただでさえ貴重な水が漏水によって無駄に失われるというのは非常に深刻な問題です。この地域の人たちがいつでも安心して安全な水にアクセスすることができるよう、まずは地図の完成を目指して引き続きがんばりたいと思っています。

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フィールド調査中に漏水を発見しました

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時には水たまりになっていることもあります

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事務所で地図作成中です