非行少年たちとのぶつかり合いの日々

氏名:黒田 篤槻
隊次:2017年度3次隊
職種:青少年活動
任地:エルドレット
配属先:Eldoret Children’s Remand Home
出身県:長崎県

ジャンボ!2017年度3次隊の黒田篤槻と申します。2018年1月よりケニアに赴任し、エルドレットという街の外れにある児童拘置所で活動しています。

この児童拘置所には、罪を犯して捕まった、または路上などから保護されてきた8歳~18歳の男女が拘置されています。児童たちは、裁判を受ける間、判決が出るまで施設内で生活をすることになります。判決を受けた子たちは、家に帰ることができたり、更生施設に送致されたりと、処遇は様々ですが、とにかく出所の時まで、この施設内で各々のペースで暮らしています。男子約60人、女子約10人の計70人ほどの共同生活です。ときには、100人を超えるほどの入所者で溢れかえることもあります。当施設は、もともと「拘置」を第一義とする施設ですので、長年、教育的な役割を担うことはありませんでした。しかし、就学年齢であるにもかかわらず、児童の学習の機会が奪われている現状が問題視され、私のようなボランティアが派遣されています。中には、NGOと協力して手厚い教育プログラムを実施している児童拘置所もあります。

私の活動は、この施設内で暮らす児童たちに、児童たちの社会復帰のサポートや、入所中の生活を送りやすくするために、教育活動を提供することです。教科書を用いた自主学習の支援や、映像教材を用いた英語学習、裁縫など様々なやり方で児童たちの教育活動を行います。毎日朝ごはんの後には、ストレッチや筋肉トレーニングを中心としたエクササイズも行なっています。このときに、先輩隊員から教わった空手や柔道を見よう見まねでエクササイズに取り入れています。児童たちは、香港映画の影響で武術にとても興味を示すため、この試みは児童の参加意欲を高めるのに非常に効果的です。近頃はエクササイズの時間になると、カラテ!カラテ!という声が飛び交っています。

元気が有り余っている児童たちを相手にする職場なので、日々の活動は決して簡単ではないですが、話をする中で、また根気強くメッセージを伝えていく中で、児童たちの態度や行動に変化が生まれたときの嬉しさは何ものにも代えられません。一方で、ひとりの児童と人として本気で向き合うことの大変さも強く実感する毎日です。

何人かの児童とは、出所後も連絡を取り合ったり、街で会ったりもします。また、送致先の更生施設を訪問して、出所後の様子をじっくりと聞かせてもらうこともあります。そんなときに、弾けるような笑顔で私の名前を呼んでくれる児童たちを見ると、日々悩みながら活動している自分が少し報われるような気がします。もちろん、「その先」が何よりも大事ではあるのですが。

ケニアの子どもたちにとって、全く異質な存在である私が彼らに対してできることはもしかするととても少ないのかもしれません。しかし、やっと近隣の児童保護施設や路上生活者向けの職業訓練などの施設と頻繁に意見交換ができるようになり、良いパートナーシップが築けてきています。配属先のみならず、そういった地域の方々と協力を強めながら、目の前の子どもたちと真っ直ぐに向き合い、ぶつかり合いながら、残りの任期も必死に活動してまいります。

【画像】

勉強する児童達の様子。問題が解けたら私が採点します。

【画像】

裁縫教室の様子。コースターや蝶ネクタイを作ります。