生徒のデザインコンペ入賞と商品化!-選ばれなかった生徒とデザイナーとしての成長-

2023年7月7日

ビーバーズ 侑(兵庫県出身 2021年度2次隊 デザイン)

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店頭に並んだ生徒のデザイン靴下で記念写真!!(私は向かって一番右)

 皆さんお久しぶりです!
 キルギスの首都ビシュケク市内の職業訓練校でグラフィックデザインを教えているJICA海外協力隊のユウです。2021年の10月にキルギスに来てから1年8か月、学校の授業は9月に迎えた新入生がもう卒業の時を迎えています。今日は、最近あった嬉しかったできごとをお伝えします。私の生徒のデザインがこちらであったデザインコンペで入賞!それから、地元アパレル企業にデザインが採用され商品化につながりました!!

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美大生に来てもらった手書きデッサンの授業(見本の展示)

 今年度の生徒たちは、男子が多かったせいか去年よりクラスの雰囲気もにぎやかに、16歳~のティーンエイジャーに就職や将来を見据えた技能習得の話をしても集中力は続きません。勉強が苦手な子たちも多く、でも将来の可能性で言ったら“無限大”のこの年頃の生徒たちにどうやったらデザインのノウハウを伝えられるのか?去年に引き続き生徒たちのモチベーションと集中力の維持を課題に掲げ考えた対策が、授業を学校内でとどまらせるのではなくいっそ外部に目を向け実践経験を積ませる、“カッコいいことで注意を惹く”でした。

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デザイン作成中

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コンペで入賞した男子生徒と記念写真(私のほかに同僚教師(向かって一番右)と学校長も)。テーマは「児童虐待のない世界」

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ラッキーソックス社のデザイナーさんに学校にも来ていただきました

 同僚とあれこれ相談し、授業の一環としてデザインコンペに応募したり、美大生を招いて話をしてもらったり、ユニークなデザイン靴下の販売で若者に人気の地元企業にコラボを持ちかけたりしました。9月に入学して以降パソコンを触り始めたのが10月、デザインのイロハもわからない当初は有名ブランドのロゴを貼り付けて『できた!』と言っている状態でした。でも、取り組むテーマがあった分、教える方もやりやすかったかもしれません。生徒と一緒にあれこれ考えテーマについて情報収集したり、実際に手を動かす日々を繰り返した成果が、コンペ入賞と靴下デザインの商品化でした!!

 今回の企画でやる気になり、一人で何作品も作った生徒もたくさんいました。作品が選ばれ家族や周りに褒められたと嬉しそうに話してくれた生徒、一方で多くの生徒が選ばれない悔しさを味わっています。嬉しさだけでなくこの悔しさはデザインを生業として仕事をしていくうえで誰もが経験する、避けては通れないことです。この気持ちへの向き合い方についても伝えることができたのは思ってもいないことでした。今いる生徒たちとは、今回の経験を通じてぐっと心の距離が縮まった気がします。
『選ばれなかったけど、私は自分の作品を誇りに思っている。』そう言ってくれた生徒がいて、年の割に急に大人に見えました。私がここに来た意味、彼らの成長に少しは貢献できているかなと感じさせる出来事でした。

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授業で作成した手描きデッサン

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イェーイ!