所長あいさつ

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私のラオスとの出会いは、1990年代半ばです。ただそのときは、ラオスの地を直接踏んだわけではありません。当時JICAタイ事務所員であった私は、タイの北部や東北部から、メコン河越しにうっそうとした森で覆われたラオスを眺め、いつかはラオスで働いてみたい、と思いをはせたものでした。その後、2000年前後に本部でラオスを担当し、2010年〜2013年にはラオス事務所の次長として勤務しました。今回は、2回目の赴任となります。

ラオスに対する日本の援助は、1958年から始まっています。1960〜1970年代に日本が支援したナムグム水力発電所やビエンチャンの上水道設備は、その後のラオスの経済発展の基礎となりました。1965年12月には世界で初となる青年海外協力隊がラオスに派遣されています。その後事業が中断した時期はありましたが、1991年以降、日本はトップドナーとしてラオスの経済発展を支えました。20世紀後半まで紛争や貧困に苛まれていたラオスは、2014年には一人当たりのGDPが1,793$(2000年と比較して5.5倍)となり、今では平和を享受する国となりましたが、その背景には日本の援助が大きく貢献したといえます。

現在JICAは、「経済・社会インフラ整備」「農業の発展と森林の保全」「教育環境の整備と人材育成」「保健医療サービスの改善」の4つを重点分野として協力を行っています。また、2016年9月に合意された「ラオスの持続的な発展に向けた日本・ラオス開発協力共同計画」の次の3つの柱も踏まえて、これからの事業を展開していく方針です。
(1)周辺国とのハード・ソフト面での連結性強化
(2)産業の多角化と競争力強化、そのための産業人材育成
(3)環境・文化保全に配慮した均衡のとれた都市・地方開発を通した格差是正

JICA事業の重点分野は以上のとおりですが、それでは、これからのJICAは、どのような視点を重視し事業を展開していくべきでしょうか?私としては、特に次の3点を挙げたいと思います。

一点目は、引き続きラオス及び周辺地域の「平和と安定」の維持に貢献していくことです。現在の世界を見渡すと、一見平和と思われた国・地域が、突如、国際社会から孤立したり紛争状態に陥ってしまうといったケースを目にします。今「平和」を享受しているラオスですが、格差など安定を揺るがしかねない社会の矛盾も存在します。世界が不安定化している今、ラオスや周辺地域の「平和と安定」に尽くすこともODAの大きな役割であり、またその努力は、日本を含む東アジア全体の「平和と安定」にもつながっていくと考えています。そのためには、ASEAN諸国との連結性強化をはじめ、教育・保健・地方開発などを通じて格差是正に取り組んでいくとともに、行財政改革や「法の支配」の確立など民主主義の基盤づくりを支援していくことも重要だと思います。

二点目は、ラオスと日本の間の「信頼関係」を築いていくことです。ASEANと日本の関係がますます重要となってきている今、ラオスを含むASEAN諸国と、様々なレベルで数十年先を見据えた強い絆を築いていくことは、双方にとって大きな財産になると思います。草の根で活動するボランティアやNGOの皆さん、日本への研修員や留学生、そして大学や民間セクター間の繋がりまで、多くの人々や機関が両国間の信頼醸成に貢献しています。JICAとしても、留学事業の戦略的拡充や、中小企業や地方自治体を含めた日本の強み・技術を活かした協力の推進などにより、両国間の信頼醸成を支える「触媒的役割」を一層果たしていく所存です。

三点目として、ラオスの現状を踏まえた「ラオスらしい発展」を追求していきたいと思います。ラオスの開発に携わっていると、経済成長だけが幸せではないのでは、といった問いを頂くこともあります。一方で、周辺国から膨大な投資や開発事業が無秩序に入り込み、山奥の農村にまで、否が応でも近代化の波は押し寄せ始めています。このような現状において、直接的な利害関係が少なく、「人間の安全保障」や「公正な開発」を掲げ、ガバナンスや環境保全、人材育成、自立発展性、そして「質の高い成長」を重視するJICAの協力は、「ラオスらしい発展」にも重要な役割を果たせると信じています。これからもラオス政府やラオスの人々に寄り添い、様々な課題の解決において、頼りになるパートナーであり続けたいと思います。

ラオス赴任は二度目ですが、まだラオスにとって本当に求められる協力とはどのようなものか、模索を続ける毎日です。これからも、ラオスの人たちやラオスに関心を持つ日本の皆様と議論を重ねながら、協力の在り方を考えていければと思います。ビエンチャンを訪れた際は、ぜひお気軽に、JICA事務所へもお立ち寄りくださればと存じます。

2017年5月
JICAラオス事務所長 米山 芳春

(ご参考)

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