所長あいさつ

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2020年7月にマラウイ事務所長に着任致しました和田です。

世界中がコロナ禍の影響を受けるなか、アフリカの小国マラウイでも様々な対策を講じて感染拡大防止のため努力しています。着任にあたりマラウイの紹介とご挨拶をさせていただきます。

マラウイはアフリカ大陸南部に位置し、三方をタンザニア、モザンビーク、ザンビアに囲まれた内陸国で、国の面積は日本の本州の三分の二ほど、人口は約1800万人です。人口の8割近くが農村で暮らし、人々の主食はメイズ(とうもろこし)の粉でつくるシマとよばれる食べ物です。1964年の独立以来、国内紛争の経験はなく、平和的な人々の暮らすこの国は「Warm Heart of Africa」(アフリカの温かい心)と形容されています。

世界ランキングやアフリカ大陸で指折りなところもいくつかあります。第一にマラウイ湖は、アフリカ大陸では3番目、世界では9番目に大きな湖で、日本の琵琶湖の約45倍の面積を誇ります。深さは706mあり、世界で6番目です。1984年にはマラウイ湖国立公園がユネスコ世界遺産に登録されており、マラウイ最大の観光スポットです。第二はマラウイ南部に位置するムランジェ山です。標高3002mで南部アフリカでも指折りの高さを誇り視界良好な時には頂上から遠くモザンビークを越えインド洋が見えることもあるそうです。そして、第三に一人当たり国民総所得(GNI)が360米ドルで世界190か国中189位と最も貧しい国のひとつです(2018年世銀)。

野生動物も含め自然や温厚な人々が魅力のマラウイですが、最貧国であるがゆえの課題を抱えています。第一に新型コロナウイルスの感染拡大は大きな懸念です。WHOによるパンデミック宣言後、マラウイ政府は3月20日に国家災害宣言を出し、国境の水際対策強化や全国の学校を休校としたほか、4月1日からは国際空港を閉鎖しています。4月2日に初めての感染者が確認され、5月下旬には100人、6月下旬には1,000人を超えました。マラウイの医療体制は脆弱で感染拡大が懸念されるとともに、経済の停滞、就学機会の喪失が課題です。

第二に、2020年6月大統領選のやり直し選挙が行われました。2019年5月に行われた総選挙では現職のムタリカ大統領が再選を果たしましたが、野党や市民団体が選挙の不正を訴え、抗議行動を続けていました。2020年2月の憲法裁判所の判決を受け6月23日に再選挙が行われ、28日マラウイ議会党のラザラス・チャクウェラ党首が勝利しました。約一年間にわたる政治空白を経て政権交代を果たした新大統領による国家の舵取りが注目されます。

第三に、国の開発は課題山積です。主要な指標をあげると、人間開発指数は189か国中172位。日々の生活に関しては飲用水の入手のために30分以上かかる人の割合が4割を超えていて、改良されたトイレへのアクセスは約5割に留まっている状況です。また、舗装道路は3割弱にとどまり雨季の移動の制約が大きかったり、国全体の電化率は約10%と、国民の9割が電気のない生活を送っています。国の発展のため、インフラ整備を進めたうえで、産業振興と経済力の向上は喫緊の課題です。

以上のような課題を抱えるマラウイには、日本が強く刻まれている面もあります。

国の玄関口は日本が建設を支援しました。独立当初、マラウイの首都は南部の高原都市ゾンバにありましたが、1975年のリロングウェへの遷都の際、その玄関口となる国際空港は日本の円借款により建設され、初代大統領カムズ・バンダの名を冠するカムズ国際空港が1983年に開港しました。以来、日本は空港運営機器の整備、管制官の人材育成にも協力しています。最近では将来の利用客の増加を見込み、ターミナルビルの拡張工事が日本の無償資金協力で進められ約35年ぶりの模様替えをしました。

また、人的交流を通じた協力は1971年の青年海外協力隊の派遣にはじまり、これまでに累計1800人を超える協力隊員がマラウイの社会・経済開発のため現地で人々と共に汗を流してきました。教育分野では古くから理数科分野に教員を派遣していますが、マラウイの大臣や閣僚を含め、学生時代に日本人教師に物理や数学を学んだことを懐かしむ人も少なくありません。さらに、JICAによる様々なテーマの研修に参加したマラウイ人は累計3,000人を数えます。長く人と人との交流を通じた関係はマラウイの国づくりと日本との信頼の礎を築いています。

2015年9月国連サミットにて持続可能な開発目標(SDGs)を採択し、誰も取り残さない開発を目指し取り組んでいます。JICAもこれに沿い、培ってきた信頼を基礎に、人間の安全保障を追求し、農業の発展や社会基盤の整備を支援していきます。

これまでの歴史の蓄積をさらに強固なものとすべく、コロナ禍でお互いに苦しい環境下ですが、マラウイと日本のよりよい明日をつくるために寄り添いながら歩んでいきたいと考えています。皆さんのお力添えをお願いします。

2020年7月
マラウイ事務所長 和田泰一