マラウイはアフリカ南部の内陸国で、日本のおよそ3分の1の国土に、約1,900万人の人々が暮らしています。国土の20%以上を占めるマラウイ湖は固有種が豊富なことで知られており、世界遺産にも登録されています。マラウイは1964年に独立し、2024年に60周年を迎えました。これまで内戦がなく、平和裏に歴史を重ねてきた国であり、穏やかな国民性を表して「アフリカの温かい心(Warm Heart of Africa)」と呼ばれています。1971年に初めて海外協力隊員が派遣されてからこれまで1900人を超え、派遣数は世界一です。国の玄関口であるカムズ国際空港は、日本の協力によって開港、整備されてきました。JICAのプログラムにより日本での研修に参加した人の数は、累計3,000人に上ります。これまでの様々な分野における協力・交流の歴史から、マラウイの人たちから日本や日本の協力に対して大きな信頼と好感が持たれています。
マラウイは世界で最も貧しい国の一つです。成人人口の約75%が農業に従事していますが、大部分が小規模農家であり、気候変動や市場価格などに対して極めて脆弱で、主要輸出作物であるタバコへの依存からの脱却や農業生産性の向上、高付加価値化が不可欠です。運輸・交通、電力、給水等のインフラ整備や維持管理も立ち遅れており、教育、保健医療の水準も低く、課題は山積しています。これらの課題に対し、JICAでは2つの協力の柱「産業育成及び経済インフラ整備」「基本的社会サービスの向上」のもとに4つのプログラム「農業・産業開発」「経済インフラ整備」、「保健・衛生」「学びの質向上」を策定し、技術協力・海外協力隊派遣等を通じた人づくりや資金協力を通じた社会・経済インフラ整備等による協力を展開しています。
上述のとおり世界の最貧国の一つであり、課題は山積ですが、人々は穏やかで、人口の約半数が20歳以下、人口増加率は2.6%であり、これから大きく発展する可能性をもった国でもあります。これまで多くの人が積み上げ、構築してきた信頼と関係をさらに未来につなげるとともに、人づくりを通じてマラウイが発展していくための協力を推進していきます。
マラウイ事務所
所長 田中 幸成
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