インターンレポート2「一に水、二に水、三に水、水はマラウイを左右する」

2020年4月2日

2020年2月から3月までJICAマラウイ事務所でインターンとして働いていた藤田修平と申します。インターン期間中に感じたことを、このレポートを通じて伝えていきたいと思います。

マラウイの生活では、富裕層や貧困層総じて、水のマネジメントによって左右されていると言っても過言ではありません。なぜなら農業・電力が特に水頼りだからです。

マラウイの国民にとって農業は非常に重要です。農業で収入や食生活の豊かさが決まります。農作物が育たなければ収入は低くなり、農作物の価格が高まります。またもし水不足に陥ったら農作物は育ちません。特に雨季に雨が降らなければ作物を育てることができないという深刻な事態になります。そうなると高額な輸入品に頼ることになりますが、庶民は手を出せません。

電力について、マラウイの発電方法は、約93%が水力です。雨が降らず川やダムに水がなくなればすぐに停電が起こります。つまりマラウイの農業及び生活は雨任せになっているのです。

ところでマラウイにはアフリカで2番目の面積を誇るマラウイ湖があります。実にキレイで壮大です。しかしマラウイ湖畔に住む国民以外が、その水を活かすことは難しいです。なぜならマラウイ湖の標高が周りの土地よりも低いからです。川の水がマラウイ湖に流れ込みます。つまりマラウイ湖という水源をマラウイ全体に活かせません。

よって湖に流れる前の雨水のマネジメントが何よりも重要になるのです。

以上まではマラウイと水の関連を述べましたが、JICAはこの水問題に多くの手を打っています。例えばブワンジェバレー灌漑開発計画(1992~2008)ザラニヤマ森林保護プロジェクト(2016~2021)等があります。ブワンジェバレー灌漑開発計画は約20億円をかけて800haの農地灌漑施設を建設しました。そして1haあたり米の収量が1トンから4トンに増やすことに成功しました。その後この灌漑施設は洪水などの被害にあい、その復旧にもJICAは貢献しました。

ザラニヤマの森林保護プロジェクトについて、この森林保護区は首都リロングウェの水源でもあります。しかし違法で過剰な森林伐採がなされています。理由の一つに、多くの住民が電気やガスにアクセスできないので、火を起こすために薪の確保が必須だからです。しかし伐採によって、雨季の際には水と共に土も川やダムに流れるので水の効率的なマネジメントができません。そこにJICAは持続的かつ長期的に森林を保護するため、森林局に日本人専門家を派遣することで技術移転を行い、森林の保護に努めています。例えば計画的植樹、養蜂による商業化、森林保護を長期的に実行するための政府への指導があります。

ちなみに都市部(リロングウェ市とブランタイヤ市)の水のプロジェクトもJICAはやっています。リロングウェでは無収水(注)率削減のための資機材強化や専門家派遣、プランタイや水道公社に対して横浜市の水道局員が短期ボランティアとして派遣されています。

私は水のマネジメントには渡航前まで全く興味がありませんでした。しかし現在の一番興味があることは水です。実際に生活するとあまりに産業がないことに驚きます。だからこそ経済と生活の生命線である農業が廃れてはいけません。雨不足になっても何とか農作物を栽培できる環境づくりは必須だと思います。一見すると新産業の創出や大きな施設を立てることは分かりやすい援助の形でしょう。しかしまずは足元を固める必要があります。JICAは知恵を絞ったような繊細な援助が得意だと思っています。だからこそ、今後も大規模な設備建設・改修というモノづくりだけではなく、マラウイの人を育成する詳細なヒトづくりも組み合わせてJICAの活動を発展させてほしいと思います。

(注)無収水とは、配水管から水が盗まれたり漏れたりして水道料金を徴収できない水を意味します。

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マラウイ湖を水源に生活している住民

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ブワンジェバレー灌漑施設 頭首工下流側

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ザラニヤマ森林保護区での違法伐採の様子(違法伐採から炭を作っています)

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ザラニヤマ森林保護区での養蜂作業