インターンレポート3「灌漑事業でマラウイの生活を向上」

2020年4月6日

2020年2月から3月までJICAマラウイ事務所でインターンとして働いていた藤田修平と申します。インターン期間中に感じたこと・考えたことを、このレポートを通じて伝えていきたいと思います。

私はJICAのマラウイ事務所でインターンをする前までは特に『灌漑事業』が何なのか理解できなかったです。例えばそもそもどのような事業であり、どのように農家に貢献しているのか等、疑問がたくさんありました。一方で関連資料を読んでも理解しづらく、灌漑事業を理解することは一つのインターンの目的でした。そしてインターンを通してJICAの灌漑事業を理解でき、その重要性も認識できました。

紹介するのが、中規模灌漑開発維持管理能力強化プロジェクト(通称MIDP2)です。実際に視察にも行き非常に理解が深まったプロジェクトです。私はこの名前だけで理解するのに抵抗があったので、もっとわかりやすく言えば「現地の人たちだけで灌漑施設を作って保とう。そのためのJICAプロジェクト。」というのが本プロジェクトです。私はこのプロジェクトはマラウイにとって非常に非常に有意義なものだと思っています。マラウイは雨水の管理が特に重要であることは前章で述べましたので重要性の説明は割愛します。

まずこのプロジェクトの進め方は、2015年にこのプロジェクトの候補地の調査を始め、2016年~2019年の1年ずつ灌漑施設の建設を開始し、計4か所の灌漑施設を作りました。調査は、いくつかあった候補地から道路状況、水源の水量、標高差、地域の組織力などの項目を設置し点数化して上位の候補地をプロジェクト地に選定しました。そして建設には経済性と効率性を踏まえた農民参加型工事で実施されました。さらにその灌漑施設の維持管理では農民のみでできるように目標が設定されています。そのためにJICA専門家は灌漑施設の建設と維持管理の技術指導をしています。視察時にはすべての灌漑施設の建設が終わっているので施設の維持管理方法の指導を行っていました。実際の研修の視察で感じたことは、一回の研修で何を伝えるべきなのか、綿密に考え尽くされた研修を企画している専門家の姿に同じ日本人として非常に誇らしかったです。

そして本プロジェクトの上位目標は、中規模灌漑事業開発が全国レベルで促進されることです。つまり、今回建設された灌漑施設をモデルに、マラウイ人だけでほかの場所でも建設され、運営管理されることです。その事業を持続していく上での課題は、実際にマラウイ関係者だけで建設や管理をする場合、誰がお金を出すかです。まず思われるのが、そもそもの施設を作るとき誰がお金を出すのかという問題です。これには解決策があります。それはJICA以外の国際機関や国際NGOに資金をお願いすることです。これはよく見られるパターンです。

私が問題視したいのは、誰が“その他“のお金を出すのかです。その他のお金とは、行政官の視察や指導時のガソリン代、災害で壊れた際の復旧代のための資金、灌漑施設の年間のメンテナンス代など様々あります。特に今回の視察で行政官のガソリン代には問題意識を持ちました。今回の研修は、2人のJICA専門家が現地指導に行くので2台車を出しました。それに計6人のマラウイの政府関係者が同乗しました。今回はプロジェクトが車やガソリンを準備しましたが、プロジェクト終了後は誰がガソリン代を支出するのかは議論になります。マラウイの物価からしてガソリン代は高額です。それを政府の経費で出せるのかは疑問です。つまりいくら技術を教えてもお金に悩まされるのがマラウイという現状でもあります。だからこそ灌漑施設を作った4か所の農作物の生産力を上げて儲かることを示す必要があります。そして農民たちが得た技術を活用して他の場所でも建設が進めば、本プロジェクトの本当の成功と言えるでしょう。

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MIDP2プロジェクト地に行くまでの道のり(Thawi Model Site)

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現地農民に対する技術研修の様子(地域の教会で行われています)

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MIDP2の看板

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灌漑施設(地味ではありますがこれがものすごく重要です)

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右から田中専門家、土井専門家、筆者