マラウイボランティアレポート「チテンジで描く大きな飛行機」

2020年10月15日

名前:横田 美空
隊次:2018年度3次隊
職種:小学校教育
配属先:バラカ教師研修センター
出身地:兵庫県三木市

マラウイの玄関口であるカムズ国際空港がJICAの無償資金協力によって拡張工事されている。その過程で巨大な目隠しボードが設置され、工事関係者からそこに子どもたちの絵を展示してはどうかという提案をいただき「Drawing at KIA」プロジェクトが始動した。縦1.2m横2mの大きな壁画をつくることになり、私は色鮮やかなアフリカ布であるチテンジを利用したアート制作を提案し、活動先の子どもたちと参加することにした。みんなで大きな作品を創りあげること、身近な物でアートができることを子どもたちに体験してほしいと思ったからだ。

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絵画の制作過程

7年生を対象に声をかけクラブ活動として企画し、有志児童が集まって1週間程度ほぼ毎日放課後に制作した。はじめに手を使って大きな空のキャンバスを描いた。はじめて絵の具にふれる子が多いのかみんな大はしゃぎで手形を押していた。その後、まずはひとりひとり自分が思う飛行機をチテンジのハギレでつくってみた。ハギレは街のテーラーさんからいただいたものである。自分の創造力をフルに動かしオンリーワンの飛行機をつくった。それから全員の作品を組み合わせて大きな飛行機の形になるように並べ、さらにハギレで余白を埋めた。最後は小さなチテンジの切れ端をひたすら貼り付けるというかなり地道な作業が続いたが、子どもたちは最後まであきらめずに取り組んだ。そしてとうとう空に飛び立つ大きなカラフルな飛行機が完成したのである。

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完成した飛行機の絵

当初は絵画制作と展示のみの予定であったが、空港にも見学しに行ける運びとなった。自分たちの絵が人々に見てもらえていることを実感すること、飛行機や空港施設を見学することで子どもたちが自分の世界を広げられるようにすることをねらいとして、児童17名と教員3名で日帰り遠足を実施した。空港は教員を含め全員が初めて足を踏み入れる場所であり、はじめは緊張や戸惑いが見られたものの、他校の作品を興味津々に鑑賞したり、空港施設について気になったことを次々と質問したりしていた。その様子を見ていると、絵画制作から見学までいろいろな苦労もあったが取り組んでよかったと心から思えた。遠足後は、全校生に対して自分たちが見てきたもの感じたことを発表する場を設け、今回のプロジェクトを締めくくった。

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空港職員に質問する児童

この経験を通して子どもたちが表現芸術への意欲、未知の物事や世界に対する好奇心を少しでも豊かにしてくれていることを願うばかりである。