マラウイボランティアレポート「薬剤師、教育について語る!?」

2022年12月26日

名前:日髙 里奈
隊次:2021年度3次隊
職種:薬剤師
配属先:カムズ中央病院
出身地:宮崎県都城市

「教育とは何か…」
私は、首都にあるカムズ中央病院の薬局で薬剤師として同僚と共に働いています。
施設の周囲には医療系の学校もいくつか隣接しており、インターン生や学生が多く実習に訪れます。
薬局の基本的な仕事の一つに医薬品の在庫管理があります。患者さんや病棟に薬を払い出したり、薬を発注したり、在庫している薬の数を数えたり…。
よって、足し算、引き算、掛け算、割り算の所謂四則計算は、薬の数を数え、適切に管理するという業務には大変重要なスキルで、当然のごとく毎日何十回と使用します。
私は、インターン生や学生と一緒に薬の払い出しや在庫チェックを行うときにはまず暗算をさせます。
するとどうでしょう…、暗算、できない人が多いのです。7×8=57?、570×100=5700??? そんな回答が返ってきます。
そして、私が間違っていることを指摘すると、あわててスマートフォンを取り出し、アプリの計算機を打ち始めます。
マラウイの高等教育への就学率は数%と言われ、本人の学力と金銭面などの環境が整わなければ、高等教育を受けられない厳しい現実もあります。
その、ごく限られた恵まれた人でさえ四則計算が苦手…。
薬剤師の私が、なぜ教育の話をするのか…。
それは、マラウイでは選び抜かれた超エリートである彼らと一緒に働いていくなかで、医療の質や技術移転をしようと思っても基礎となる学力や能力が備わっていなければ、彼ら独自の持続性や発展性が見込めないと考えるからです。
医療現場も実際医療スタッフ不足が問題となっており、人材確保が喫緊の課題ではありますが、大急ぎで人材を確保しようと思っても、薬の量を間違える、薬の在庫管理ができない、そのような医療者が増えても意味がありません。
マラウイの医療の発展には基礎教育レベルの底上げ、やる気と才能ある人材をしっかり国が支援する体制、そのような風潮が必要ではないかと感じています。
基礎教育をしっかり受けてきた子供たちが増えれば、将来的には医療をはじめ国全体が安定し、結果として国が発展していく大きな活力となってくれるはずです。

食べ物は「体」をつくり、教育が「知」をつくります。
「体」と「知」が人の生きる「術」や「経験」をつくり、やがて「未来」をつくります。

私は教育のプロでは全くありませんが、医療の質の改善・底上げを目標として活動していくうえで、将来を担う若いインターン生や学生を指導する立場として、どうしても基礎教育の重要性を伝えたかったので、今回医療と教育の関係性、教育の重要性をテーマに取り上げました。
教育にお金や人を投資してもすぐには結果がでません。しかし長い目でみたらとても効果的なことである事を、多くの偉い大人の方、今後JICAボランティアとして活動したいと思っている方等に感じてもらえたらと切に願っています。

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みんなで協力しながら調剤中。

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学生さんと。未来に乾杯!