思い出の一枚「ほっこりしたある日のこと」

2021年4月1日

名前:横田 美空
隊次:2018年度3次隊(2019年1月23日~2021年1月22日)
職種:小学校教育
配属先:バラカ教師研修センター
出身地:兵庫県三木市

「サカナ!サカナ!ナマズ!」ある暑い日の昼下がり、オフィスに不意にやってきたおっちゃんが私を見て言いました。

私はマラウイ南部のバラカ県に住んでいました。その日はちょうど学期休みで、普段はあくせく小学校を巡回している私も一息ついてオフィスで同僚たちとゆったりとおしゃべりしながら過ごしていました。
オフィスにはいろいろな人がやってきます。児童の保護者や先生たち、地域の人たち、そしてものを売る人たち。ゆでトウモロコシやバナナの移動販売をしているお母さんたちもよくやってきます。

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「サカナ!」「ナマズ!」と聞き馴染みのある言葉をかけてきたのも、魚を売りに来たおっちゃんでした。どうしてそんな日本語を知っているのか聞いてみると、昔このあたりに住んでいた日本人が魚をよく買ってくれて、その人に教えてもらったんだと嬉しそうに話してくれました。その思い出から日本人は魚が好きだと思ってくれているのか、かなりノリノリで意気揚々と魚たちをおすすめしてくれます。魚が水揚げされる湖から少し離れた場所にしてはかなり立派なサイズの新鮮そうな魚たちが並んでいました。魚が苦手な私は少し申し訳ない気持ちになりながらもおっちゃんとの会話を楽しんでいました。そんな私の隣で同僚のボスは魚を景気よく選んで購入しています。私とおっちゃんの会話を聞いていた彼は、なんだか楽しそうに「サカナ!」と繰り返し覚えて、立派な魚たちも大量ゲットして、とってもご満悦の表情(写真)。この地で活動されていた隊員の方のおかげで生まれた、ほっこりしたひとときでした。

任地で生活してみて驚いたのは、日本人の名前やその人との思い出を聞く機会が思ったより多かったことです。突然「コンニチハ」と声をかけられて驚いたり、一緒に活動している先生から「学生の時に日本人に数学を教わったよ」と聞いたりすることが多々ありました。そのたびに協力隊の歴史を感じ、ここで生きている人々の心の中に多くの日本人が生きていることを知りました。

マラウイ隊員の派遣が今年で50周年を迎えると聞き、長きにわたりマラウイで多くの日本人が活動されてきたことを誇らしく感じるとともに、自分もその一員であったことを大変光栄に思います。今後も多くの日本人がマラウイの人々と心を通わせ繋がりをもち続けられることを心より祈っています。