思い出の一枚「井戸での洗濯」

2021年4月22日

名前:上田 啓介
隊次:2017年度3次隊(2018年1月10日~2020年1月9日)
職種:障害児者支援
配属先:ムア聾学校
出身地:福岡県

朝5時、生徒たちのほうきで庭を掃く音で、目を覚まします。

聾学校の生徒寮の一室で生活していたので、規則正しく毎朝決まった時間に掃除が始まります。主に聴覚障害児の生徒が生活している寮なので、普段から静かな所です。その中で「シャッシャッ」という音が絶妙に眠りを妨げてくれます。

朝起きて、洗濯しに近くの井戸へ向かうと、すでに生徒達が集まって、自分たちの服や布団を洗ってます。自分が井戸に現れると、生徒たちが「先生のも一緒に洗うよ」と声をかけてくれます。洗剤をたくさん使う習慣があるマラウイ。洗剤がなくなったら都市部まで買いに行くのが面倒なので、生徒たちの優しさをスルリとかわして、自分で洗濯をしていました。毎朝の日課です。

自分で洗濯をする事、数か月。日本から持ってきた、白いTシャツが、濁った井戸水で洗濯しているからか、日々砂ぼこりにさらされているからか、白から薄汚れた色へと変わってしまいました。テンションが大幅に下がりつつも、何度か着ていると、生徒達から、「私が洗濯しようか」と声をかけてくれました。内心「この汚れは無理だと思うよ」と思いつつもお願いしてみると、30分後。生徒たちの手によって真っ白になってTシャツがかえってきて驚きと脱帽。

日本に帰ってきて、洗濯はスイッチ一つで自動洗濯。マラウイ生活では、日常で、当時は慣れてしまって何も感じなかった事が、今となっては井戸水汲み、石の上での洗濯、緑色の石鹸、生徒達と洗濯していた一つ一つが、何気ない日常の一コマとして懐かしく思い出されます。

次回は、2017年度2次隊の竹本大起隊員(理科教育)の思い出の一枚です。

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