思い出の一枚「ずっと覚えていたい景色」

2021年6月3日

名前:池邉 佳織
隊次:2014年3次隊(2015年1月5日~2017年6月3日)
職種:公衆衛生
配属先:ムジンバ県マニャムラヘルスセンター
出身地:鳥取県米子市

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教室で楽しそうに紙飛行機を飛ばす生徒たち

私はマラウイ北部にあるムジンバ県マニャムラヘルスセンターで公衆衛生隊員として活動していました。主な活動は乳幼児健診の改善、低栄養児クリニックでの母親への栄養指導・調理実習、公衆衛生グループでの母子手帳改善活動などで、同僚や母親を対象に行っていました。

海外協力隊は通常2年間の任期ですが、母子手帳改善活動のため、5ヶ月間任期を延長しました。その滞在を延長した期間で、それまで子どもたちにも色々な知識をつけて欲しい、学ぶ楽しさを味わってほしいという思いでずっとやりたかった学校保健を始める事ができました。6・7年生を対象にマラリア・HIV/AIDS・栄養・日本紹介の4つをセットにし、6校を巡回しました。授業はなるべく体験型で、生徒自身で理由や対策を考える事ができるという事を意識し組み立てました。協力的な同僚数人と授業日程を計画・実施しましたが、完璧に協力してくれる同僚と順調に授業ができる日もあれば、気付けば同僚が現れず授業を終えている日や、学校の先生のサポートに助けられた日もありました。校長先生が授業に参加し、「自分も数学を日本人に習ったから日本人に感謝している」と言ってくれる事もありました。大盛り上がりで笑顔いっぱいの時間、真剣な眼差しでメモをとってくれる時間、たくさん手を上げて発表をしてくれる時間、どの瞬間の生徒の顔もその時の風景も私にとって忘れられない景色です。

そんな中、授業で出会った7年生の女子生徒がこんな事を言ってくれました。「調理実習で習ったレシピを家でも作ってみたよ。」「これからもずっと授業を教えに来て欲しい。あなたからもっと色々な事を学びたい。」いろいろ工夫して取り組んできていたものの、なかなか活動の手応えが得られていなかった私は、その言葉に胸がとても熱くなりました。任地の人々のために何か残せているのかと不安でしたが、先輩隊員の思いが校長先生に伝わっていたように、こうやって1人だけでも活動した思いが伝わっているのであれば、思い出が誰かの心に残っているのであれば、私がここに来た意味があったのかなと思えた瞬間でした。同時に、マラウイにはまだ多くの課題があり、子どもたちが未来に希望を持って元気に過ごせるよう、もっと活動を続けたいと思いながら活動期間が終わりました。

そんな思いや子どもたちの表情、毎日見上げた雄大な景色が帰国後も心から消えず、後にISAPHという保健医療協力を行うNPOへ所属し再度マラウイで活動するパワーへと変わりました。

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ムジンバの空

JOCV時代を思い返せば、毎日のバイク移動や授業準備、普段の活動とグループ活動、電気水道なしの生活にへとへとになる事もありました。落ち込んでやる気がなくなってしまう時もありました。しかし、行く先々で出会う子どもたちの笑顔を見るたびにこの子たちの為に頑張ろうと癒され、村のお母さん達のパワフルさに元気づけられ、任地で出会った母親のようなマラウイ人と個性豊かなマラウイ隊に励まされ、どこまでも続く空と地平線に何度も感動して、活動を続ける事ができた約2年半でした。

次回は、マニャムラから首都に行った時、田舎ではできないおしゃれと都会ご飯によく付き合ってくれた首都隊員の2014年度2次隊山本美紀さん(林業・森林保全)の思い出の一枚です。