思い出の一枚「マラウイ人の逞しさ」

2021年6月10日

名前:山本 美紀
隊次:2014年度2次隊(2014年9月~2016年9月)
職種:林業・森林保全
配属先:森林局本局(自然環境・エネルギー・鉱物資源省)
出身地:兵庫県西宮市

隊員としての活動を終えてから3年が過ぎた頃、日本社会に疲れを感じて初心を思い出すために向かった先はマラウイ。3年ぶりのアフリカ大陸はとてもハードル高く感じました。現地で道に迷ったり騙されたり物取られたりしないかな、そんな思いで臨んだ旅行でしたが、いざマラウイへ着いてみると、当時と変わらない街並みや空気に一気に癒されました。長距離バス出発時に始まる神父のお説教、窓から見える美しい草原や乾燥した大地、あぁ自分は憧れだったアフリカ大陸にいるんだという高揚感、その全てが隊員当時と同じで、自分でも驚くほど当時の感覚を取り戻しました。

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2015年11月 森林資源量調査

隊員としてマラウイにいた当時、マラウイでは薪炭生産による違法伐採が問題となっていました。森林保全プロジェクトの一環で対象保護区周辺の生活状況調査や対象保護区内の森林資源量調査を実施し、その深刻な状況をマラウイ政府に伝えるイベントの手伝いなどをしていました。結果、政府は危機感を持つようになり、後に厳しい取り締まりも実施されていましたが、森林資源の制限は市民の生活に直結しているため、マーケットで木炭価格の調査をしている際に文句を言われることもありました。

自分がマラウイを離れた後も、新しいプロジェクトが始動し、森林保全活動は続いていたと思います。しかし実態はあまり知らないままどうなっているだろうと気になっていたマラウイの森林環境。バスから見える木々は減っているのだろうか、低い木が生えているようにも見える箇所もありあそこはきっと植林されたんだろうなと安心したり。

数日後、リロングウェの旧市街地に向かう道を歩いていると、リロングウェ川が増水し木造の橋が丸々流されていました。私は驚いてそのことを元同僚に話すと「毎年のことだよ、橋はまた新しく作るから大丈夫だよ」と言われ、少なくとも自分がいた2年間はそんなこと起きなかったけど、と納得いかない思いと同時に、あぁそうだ、マラウイの人々はこれまでも限られた資源の中で多数の苦難を乗り越えてきていて、その逞しさがマラウイから教わったことの一つだったと思い出すことができました。帰国後、その翌月にも洪水が発生したとニュースを目にしましたが、マラウイならきっと創意工夫を凝らして少しずつ発展していくんだろうなと思えました。日々の生活の中で、小さなことに苦心したり苛立ったりすることがありますが、隊員当時毎日のように感動していたマラウイ人の逞しさを見習って、困難を乗り越えていきたいと思います。

次回は、マイペースを崩さない安定感満点のお姉さん、平成26年度1次隊冨高隊員(青少年活動)の思い出の一枚です。

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2015年9月 家族とリロングウェを散策

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2020年1月 増水の様子