思い出の一枚「MBCと私とWhat’s UP EPA!」

2021年8月19日

名前:中西真実
隊次:平成20年度3次隊(2009年1月5日~2011年1月4日)
職種:放送技術設備
出身地:大阪府東大阪市

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MBC技術スタッフのみんなと(忙しい皆に無理言って集まってもらいました)

初めてのアフリカ、初めての海外生活、稚拙な英語とチチェワ(現地語)で一生懸命やりたいことを伝えることから私のMBCライフは始まりました。
MBC(マラウィブロードキャスティングコーポレーション)は赴任当時マラウイ唯一のTV局で国営放送局です。
当初は年間予算1クワチャ(実質0)という国営放送局でもスポンサーを取らざるを得ない経営状況で、車ない、燃料ない、スタッフいないの、ないないづくし!

そんな環境で技術を伝えることのできる取組みを模索してたどり着いたのが、MBC制作教育番組である「What's UP EPA!」の制作です。最初は学校隊員の提案から始まり、保育・環境・栄養等々本当に幅広い分野の隊員の協力を得ることができ、私自身の活動の幅も随分広がっていきました。様々な分野の様々な地域の隊員の知見の共有だけでなく、実際に出演してもらうことで任地の村人たちに覚えてもらえたり、マーケットで声をかけてもらえたりと様々な相乗効果があったと聞きました。
私にとってもかけがえのない経験の1つとなりました。限られた撮影時間だというのに、機材がない!車がない!カメラマンが来ない!で毎回MBCスタッフに怒ってばかりだった気がしますが、今思い出すのは楽しかったことばかり…

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隊員プロデュース番組『What’s UP EPA!』のダンスパートロケ

衝撃だったのは、マラウィアンの「なぜ彼女は待てないんだ?」という質問に対して、配属先の同僚が「彼女は待てないというハンディキャップを持っているんだ」という返答でした。その後、同僚が私に「日が暮れるまでにロケを終えて、君が家族と夕飯を食べられるのは私の待てないという特性のおかげで、これは長所だ」と裏で詰められたのは仕方のないことでしょう。
そんなハンディキャップを背負いながらマラウイで過ごした2年間で、私は『待てない関西人』から『少し待てる関西人』へと成長し、このスキルは職場でも子育てでも大いに役立っています。当時は全く理解できなかったただ木陰でぼ~っとする非生産的な行為も、贅沢でかけがえのないものだということを学びました。マラウィアンからみたら致命的な待てないハンディキャップを持った私を全肯定で受け入れ、活動に協力してくれたMBCスタッフには心から感謝しています。

次回は、何が起きても安定の平常心にいつも救われていました、20年度2次隊唐澤理恵さん(村落開発)の思い出の1枚です。