思い出の一枚『天の恵みを待ちながら思う「食」の重要性』

2021年9月2日

名前:風折 政幸
隊次:2008年度1次隊(2008年6月25日~2010年6月24日)
職種:コンピュータ技術
配属先:Banja La Mtsogolo(バンジャ・ラ・ムツォゴロ)ローカルNGO
出身地:香川県高松市

農家にとって秋冬野菜の準備に忙しくなる夏の日、どうにも雨が降らない日々で乾いた畑に散水しながらマラウイ生活を思い出すことがある。
「そろそろ雨がほしいよなぁ」、マラウイでは11月後半の雨季前になると聞こえてくるこんなセリフ。毎年必ず来るメイズの種まき後の「雨待ち」である。まさか10年後の自分が、日本で同じように天の恵みを心待ちにしているなどとは思ってもみなかった。

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さとうきびをかじりながら仕事をしてみる

そもそもシステムエンジニアとして働いていた自分が、今や脱サラ農家となったきっかけの一端もマラウイ生活にある。
13年前、リロングウェ上空の機上で見た「これが首都の上空?」と疑うほど何もない赤土の大地、見渡す限り広がる地平線や広い空に浮かぶ稜線、マラウイ湖をとりまく水資源、豊かな自然とともにある暮らしの中で、町や村では猫の額ほどの空き地や道端に至るまでメイズが植えられており、自給自足に近い生活を目の当たりにした。非農家の家で農業と無縁で育った自分にとって、自分で自分の食べ物を育てるという行為自体、目から鱗だった。

また、マラウイ生活で感じた人間にとっての「食」の重要性。油のうま味と皆で空腹を満たすことの幸福感は、日本ではあまり実感することのない感覚だった。40度の発熱の翌日、焼き肉をおかずに白米3合をたいらげたとき、当時の健康管理員さんに「それだけ食べてたらマラリアも発症しないかもね」とも言われたが、漫画ワンピースのルフィ然り、やはり人間の生命力の原点は「食」にあることは間違いない。
とにかく自分から言えることは、「ご飯は食べられるときにたくさん食べておけ!」ということだ。マラウイでも日本でも世界のどこでも、人間が生きる上での真理に気づかされた経験は大きい。

次回は、元気な熱血漢、男泣きのよく似合うゴリポンこと基彰太さん(19年度4次隊 理数科教師)です!