思い出の一枚「動物(人類)VS Virus 闘いは続く」

2022年2月17日

名前:蔵田團果
隊次:平成5年度3次隊(1994年4月~1996年3月)
職種:獣医師
配属先:チョロ獣医事務所
出身地:東京都大田区

Variola Virus天然痘、ヒトの感染症で今まで唯一撲滅された(とされている)Virus性感染症。

コロナとの闘いが2年以上となっている現在、2021年12月末時点で2億8500万人以上の感染者が確認されているらしい。一方2020年末現在、HIVエイズの陽性者数3760万人、新規感染者数年間150万人、エイズによる死亡者数年間69万人。猛威を振るった1990年代に比較すれば治療薬の効果も有り半減以上ということらしいが、まだこのVirusは年間69万人もの命を奪っている。

動物のウィルス性疾病や人獣共通感染症の実態を知りたくてMalawiに足を踏み入れた。狂犬病は身近に存在したし、アフリカ豚熱やランピースキン病を目の当たりにした。開発によって炙り出されてしまったウィルス性感染症も多い。HIV、エボラ、ラッサ熱、新型コロナもその一つなのではないだろうか…?HIV、エボラ、ラッサ熱に対しては有効なワクチンすら完成していない。

チョロ獣医事務所管内には当時10数人のVeterinary Assistant(VA)がいた。Mr. Kanjala(チェワ語ではお腹が空いてるとなり愛らしい苗字だ)は事務所駐在のVAの一人で、周辺農家からの信望も厚く真面目に働いてくれたし疾病診断や治療に対しても積極的に関わってくれた。私の任期終了後にはカウンターパート研修で日本にも行き、様々な知識技術を吸収してMalawiに戻った。しかし、日本での研修を終えて帰国後2年と経たないうちにHIVで短い生涯を終えた。日本での研修中に彼のアパートを直撃した時、炊飯器にはカボチャが炊いてあった。研修中に訪れた日本の農家から頂いた物らしかった。日本の農家からもしっかり受け入れられていたのであろう。炊飯器でカボチャねえ…と感心して笑ったことを今でも思い出す。写真に写っているVA5名のうち2名は私の任期中にこの世を去った。VAの誰それが昨日病院に入院したと聞くと、ああ後数日かあと溜息が出た日々。働き盛りの有望な人が多く失われ愕然とした日々。隊員派遣50周年の記念企画にこんな暗い話題はどうかとも思ったが、矢張りあの当時のあの衝撃は忘れられない。Virusとの闘いに人類はたった1勝だ。

【画像】

チョロ獣医事務所管轄のVA達

次は、職場では薬剤師ならぬ砂糖大臣を務め、隊員の集まりでは常に自慢の皿踊りを披露してくれていた"のりだー"こと5年度2次隊の西村(旧姓 深谷)典子さんにバトンをお渡しします。