jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

所長あいさつ

 日本のマレーシアに対する政府開発援助(ODA)は、1956年に日本へ技術研修生を受け入れたことに始まり、2026年に70周年を迎えました。また、JICAがマレーシア事務所を開設してからは、2025年に50周年を迎えています。このような長い協力の歴史を有するマレーシアに赴任し、同国のさらなる発展や日本との関係強化に向けて、皆様と共に働けることを大変うれしく、また幸運に思っています。

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 JICAは、これまでマレーシアに対し、幅広い分野で協力を行い、同国の発展に貢献してきました。人的資源開発・高等教育の分野では、「ルック・イースト政策」に基づく日本の大学への留学支援や、マレーシア日本国際工科院(MJIIT)の設立を後押ししてきました。インフラ整備の分野では、クアラルンプール国際空港(KLIA)や高速道路網、発電所、水資源・下水道、廃棄物処理施設などの整備を支援してきました。さらに、海上保安や税関分野における人材育成、青年海外協力隊(JOCV)による草の根レベルでの活動、マレーシアと協力した第三国に対する南南協力など、多様な事業を展開してきました。2024年時点で、JICAを通じて日本で研修を受けたマレーシアの技術研修員(JICA留学生を含む)は約19,700人に上ります。また、これまでにマレーシアへ派遣された専門家・調査団員は約11,600人、ボランティアは約1,600人に達しています。加えて、これまでの円借款供与額は累計で9,238億円となっています。

 マレーシアは1957年の独立以降、アジア経済危機や新型コロナウイルス感染症の影響など、さまざまな困難を乗り越えながら着実に経済成長を遂げてきており、近年も5%前後の高い経済成長率を維持しています。2025年に発表された「第13次マレーシア計画(2026~2030年)」では、2030年までに高所得国としての地位を達成・定着させることを目標に掲げています。その実現に向け、経済構造の高度化、社会的流動性の向上、公共サービス改革の加速、国民の福祉と環境持続性の向上という四つの柱を重点政策として打ち出しています。このようなマレーシア政府の開発計画および日本政府の開発協力方針を踏まえ、JICAはマレーシアにおいて、(1) 高所得国入りに向けた均衡のとれた発展の支援、(2)アジア地域共通課題への対応、(3)アジア地域を超えた日・マレーシア開発パートナーシップの強化、の三つを重点分野として協力を進めています。

 これまでの両国間の協力を通じて、緊密な人的ネットワークが築かれてきました。例えば、「ルック・イースト政策」の下、約26,000人のマレーシア人が日本で学び、研修を受けています。また、近年は日本とマレーシアの大学間交流が一層活発化し、日本からマレーシアへ短期・長期で留学する学生も増えています。日本企業のマレーシアでの事業展開も、製造業にとどまらず、サービス分野へと広がりを見せています。こうした重層的で幅広い関係は、両国にとって大きな財産です。

 このような人的つながりと信頼関係を基盤として、企業、大学、研究機関、NGOなど多様な主体と連携し、日本とマレーシアの「共創」により「革新」を生み出し、さらには人材や知見の「環流」を推進していきたいと思います。また、アジア、中東、アフリカ諸国に対し、両国の知識や経験を共有する南南協力の一層の拡大にも取り組んでまいります。

 JICAのビジョンである「信頼で世界をつなぐ」の下、マレーシアの発展に貢献するとともに、両国、さらにはASEANと日本をつなぐ架け橋として力を尽くしてまいります。これまでの皆様のご理解とご協力に心より感謝申し上げますとともに、今後とも共に取り組んでいけることを楽しみにしております。

2026年4月
JICAマレーシア事務所長
上田 大輔