ミャンマー総選挙報道改革に向けたJICAの「初」の取り組み-正確で公正な選挙をミャンマー国民に分かりやすく届けるために-

2020年11月6日

11月8日にミャンマー総選挙が迫る中、MRTV内の選挙報道チームは、JICAの無償資金協力で支援されたスタジオや機材、CG製作ソフトを活用した選挙報道番組作りとリハーサルのヤマ場を迎えています。

ミャンマーでは、2011年の民政移管後メディアへの規制が緩和され民間が参入していますが、厳しい検閲制度が敷かれた軍政時代の後で、民主化を担う健全なメディアの育成が課題です。今正に行われているトランプvsバイデンといったアメリカ大統領選挙や日本の国政選挙のように、選挙前の党首討論会番組、放送局独自の取材や分析による選挙結果予測や選挙結果速報といった事も行われず、政見放送、選挙管理委員会(UEC)から発表される選挙速報をそのまま淡々と伝えるといった未熟な報道スタイルがミャンマーではまだ一般的でした。今回の選挙では、こうした従来の報道のスタイルを改革し、国民に向けて、分かりやすく、タイムリーに情報を届けるため、JICAの日本人専門家チームが取り組んできています。

MRTVでは、昨年秋、局内に選挙報道チームを結成、日本人専門家のガイダンスを受けて準備を進めてきました。2016年から実施している技術協力を通じて中継車を使った取材・中継の訓練を実施、この成果を基にMRTVにとって「初」となる投票所からの現地リポートを行います。バーチャルスタジオとコンピュータグラフィクスの制作システムを活用した選挙報道番組作りの支援なども行っています。公共放送としての選挙報道の在り方についてのセミナー、討論会なども実施して参りました。

公共放送は正確・中立・公正な放送が国民に届けられるために重要であり、民主化の促進・定着に寄与することから、JICAはMRTVの公共放送化のための能力強化を支援してきました。選挙報道は公共放送局にとって極めて重要な活動であり、JICAはそのための能力強化にも取り組んでいます。

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屋外での取材・中継の訓練(MRTV能力強化プロジェクト(フェーズ1))

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屋外での取材・中継の訓練(MRTV能力強化プロジェクト(フェーズ1))

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選挙報道用バーチャルスタジオ制作(キャスターの動きとCG画像の調整)

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選挙報道用報道番組の制作(グリーンバックを前にキャスターと日本人専門家の打ち合わせ)

参考資料として、バーチャルスタジオを使った選挙報道に関する報道番組制作支援の様子を下記のリンクからご覧になれます。なお、画面上で示している結果については、訓練用のダミーデータであることをご留意いただければ幸いです。転載、2次利用等はご遠慮ください。

MRTV選挙前ニュース番組 編集中動画(メイキング映像)