ミャンマー中央銀行(CBM)、新支払決済システム(CBM-NET2)の稼働開始について

2020年11月16日

国際協力機構(JICA)は2016年1月、安全で便利な決済インフラであるミャンマー中央銀行向け支払決済システム(CBM-NET:Central Bank of Myanmar Financial Network System)を整備し、金融・銀行セクターの発展および電子化に貢献しておりました。近年、市中金融機関は、ICTによる効率化を進め、勘定系システムを導入すると共に、より良いサービスを提供するためにモバイルバンキングやモバイルウォレットといった新技術・サービスを取り入れております。このような金融取引の急速な増加・多様化に対応するため、日本の決済システムの経験も踏まえて開発されたCBM-NET2を2020年11月16日に稼働開始することになりました。今後2021年前半にかけ、機能追加を進めていく予定です。

ミャンマーにおいては決済口座の保有率が依然として低いという現状があります。CBM-NET2稼働により、異なる銀行間でも送金が24時間対応可能になる他、給与振込や税金・公共料金引落しも可能になります。また、中央銀行・各市中銀行間のシステム間直接接続や小切手電子処理により、各州、各地域すべての決済の効率化が図られます。これらの改善により、これまで現金決済やインフォーマル送金といったリスクの高い方法を利用していた人々にとっても、安全で利便性の高いフォーマルな電子決済を利用しやすい環境が整備されることで、金融包摂の促進につながります。また、現金決済から電子決済への移行(キャッシュレス化)は、「新型コロナウィルスとの共生」という新しい課題に対応する一つのソリューションにもなります。

JICAはシステムの導入支援だけでなく、技術協力プロジェクトを通じて、決済システム運用・保守に係る人材育成やガイドライン・ルールの策定、さらには金融政策立案・運営能力強化などの支援をミャンマー中央銀行に対して行っております。今後もスピーディで安全なCBM-NETにより金融取引が拡大し、ミャンマーにおける金融包摂促進や金融システムの安定化の一助となるような活動をしていく予定です。

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