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デジタルフォーラム「共生社会の実現に向けたサポートの在り方~官民産学連携の視点~」を開催しました!

2021年12月16日

 第一部では、基調講演として、名城大学法学部近藤敦教授から「共生社会をめぐる国内外と東海・北陸の現状について」と題しお話いただきました。
教育や多言語相談窓口、災害時、意識啓発と交流、差別解消および企業における人権の各視点から、連携についての課題と様々な団体の取り組み事例を紹介いただきました。そしてこれまでの日本の施策ではどのように「支援」していくかということが中心であったのに対し、今後は外国人の社会参画を促進していくことの重要性など、ご自身が関わっていらっしゃる名古屋市の多文化共生プランの変遷を例に(※)、今後の連携の在り方についてお話しいただきました。

第2部のパネルディスカションでは、連携が期待される分野から6名のパネリストを迎え、それぞれの取り組みの共有を通じて連携の意義・在り方を考えました。

■豊橋市役所多文化共生・国際課 小清水仁美課長からは、同市の「多文化共生推進計画」に沿った取り組みが紹介されました。同市の外国人の新型コロナワクチン接種率が日本人と同等に至るにあたり、多言語による情報提供をはじめ様々な取り組みを実施し達成できたという状況から、「多文化共生施策はやりすぎてもやりすぎではないということを実感した」という言葉が印象的でした。また、同市では職員採用に関し、海外貢献枠にてJICA 海外協力隊経験者を採用しており、協力隊経験を活かして庁内でのダイバーシティ推進に高い貢献をしているとの事例もお話いただきました。

■福井大学・ NPO 法人こどもLAMP 半原芳子准教授からは、日本語能力を伸ばすための母語教育の重要性から外国にルーツを持つ子供の学習支援の取り組みを紹介していただきました。子供の問題は親の問題と関連しており、企業や自治体、学校など関係者の連携が重要とのお話をいただきました。

■福井大学 ヤスミーン モスタファ准教授 からは、在留外国人の代表としてご自身の経験をお話いただきました。近年、外国人が暮らすハードルが増えつつあり、言語のサポートを含む安心して暮らせる環境づくりの必要性について、また、お互いの文化を知り理解する交流の「場」を増やすことの重要性について言及されました。

■JICA 宍戸健一上級審議役は、JP-MIRAIの取り組み、特にポータルアプリと相談・救済窓口の構想と来年1月からの自治体との勉強会について、また、帰国したJICA海外協力隊員の地域での活用の有用性を話しました。

■トヨタ自動車株式会社海外労政室 奥山洋介室長は、「ビジネスと人権」の観点から、外国人を多く受け入れている産業・企業としての責任とサポートについて、 JP-MIRAI への参画の意義を含めてお話しいただきました。

■出入国在留管理庁在留支援課 山形正洋補佐官からは、外国人の受入環境整備にかかる自治体や民間団体への支援策を紹介いただきました。今後、民間支援団体との連携強化、ネットワーク作りに取り組んでいくことをお話いただきました。

本フォーラムを通じて、多文化共生の領域では、1つの機関では解決できない問題が多く、またニーズが多様であることから、改めて連携すること、連携の幅を広げていくことの重要性・可能性について考える機会となりました。

参加者からも多面的な報告から外国人のサポートの在り方について考える有益な機会となった、それぞれの機関の「連携」がとても大切であると改めて認識したという感想をいただきました。

 なお、このフォーラムの録画を2022年1月末まで下記にてご視聴いただけますのでぜひ、ご覧ください。

今後もJICA中部は、セミナーやシンポジウムを開催していきますので、是非ご参加ください!

※名古屋市第3次多文化共生推進プランは現在策定中。

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