日本の支援によるパキスタンの自然災害軽減への貢献

2020年12月23日

パキスタンは、大雨による洪水や土砂災害、サイクロン、地震等の自然災害の常襲国であり、とりわけモンスーン期に毎年のように繰り返される洪水被害は、パキスタン全土に大きな被害をもたらしています。こうした被害を軽減するため、日本政府は、JICAを通じて、1980年代から、パキスタンの気象観測レーダー網の整備を行い、気象観測能力の向上を長年にわたり支援しています。

パキスタン国内にある日本が支援した気象レーダーは、計画中のものを含め、イスラマバード、ムルタン、サッカル及びカラチに設置され、パキスタンのほぼ全域をカバーします。

また、近年では、単に気象観測能力の向上のための支援だけではなく、パキスタンの気象予報能力を向上させるため、2019年に、JICAを通じた日本政府の支援によってイスラマバードに「中期気象予報センター」が設立されました。

パキスタン気象局の職員は、「日本の支援により、従来の気象観測システムと比べて高精度な画像を用いて雲の位置等の正確な情報が得られるため、気象予報の能力が向上しました。これにより、地元コミュニティへの気象情報の事前提供、大雨が降る地域の特定と 増水が予想される河川の下流域に住む住民への早期警報、イスラマバード国際空港での活用等に役立っています。」と述べています。

また、日本人のレーダー技術者は、「パキスタンの気象観測レーダーは、日本の気象観測レーダーと同じ最新技術が使われており、日本の技術が役に立ててうれしい。」と述べています。

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無償資金協力により建設されたイスラマバードの気象観測レーダー(右に見える白い建物は、かつて日本が支援した旧気象観測レーダー)

2020年のモンスーン期の洪水では、イスラマバードに「中期気象予報センター」が設立されたことや、パキスタン気象局の職員の努力により、早期に洪水予警報を出し、住民に避難を呼びかけることができました。

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イスラマバード気象レーダーの画像(旧気象レーダー)Islamabad weather radar Image(old weather radar)

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イスラマバード気象レーダーの画像(新気象レーダー)Islamabad weather radar Image(new weather radar)

しかし、今回のモンスーン期には、カラチ市を中心とした「都市型洪水」という新たな形態の洪水被害も発生しました。日本政府とJICAは、今後も想定される自然災害の軽減に向けてパキスタンを引き続き支援していきます。