サバクトビバッタ被害の小規模農家の食料安全保障と栄養強化に向けて、JICAとFAOが連携協力
2021.03.11
イスラマバード、2021年3月8日(月):国際協力機構(JICA)と国際連合食糧機関(FAO)は、サバクトビバッタにより被害を被った小規模農家の食料安全保障と栄養を強化するため、FAOへの130万ドルの協力について合意し、式典において、国際協力機構(JICA)パキスタン事務所所長古田成樹氏と国連食糧農業機関(FAO)パキスタン国事務所臨時代表レベッカ・ベル氏が協力協定に署名しました。このプロジェクトは、JICAの技術協力の一環としてFAOと協力して行われるもので、サバクトビバッタ被害地域の生計を支援し、小規模農家の世帯の食料安全保障を強化するために、主にバロチスタンのウメルコット郡とシンド州のカラン郡で支援を行うものです。対象地域は、食料供給や生活面の調査結果に基づいて農業局との協議も踏まえて特定されました。プロジェクト期間は13か月間、家庭の食料生産の量、質、多様性を高め、これまでのFAOの経験に基づく栄養教育プログラムを含む統合家庭食料システム(IHFS)アプローチを通じて、妊娠中および授乳中の女性を持つ脆弱な農村世帯の食料と栄養を強化することに焦点を当てます。IHFS活動の裨益者は約18,370人となることが想定されています。支援にはサバクトビバッタの監視と制御活動も含まれ、サバクトビバッタの流行を特定し、制御することができるよう植物保護局の能力を構築することに焦点を当てます。
署名式にて、左から
レベッカ・ベル氏、
古田成樹氏
JICAは東アフリカ・中東・南アジアにおけるサバクトビバッタ被害、とりわけ甚大な被害を受けたパキスタンに対する早急な支援の必要性を認識しています。JICAはサバクトビバッタ被害を受けた農家の生計向上支援事業を昨年10月に実施したが、引き続き支援が必要と認識しています。サバクトビバッタ対策として、短期的には被害を受けた農家の生計支援回復、中長期的にはバッタ防除能力およびレジリエンス強化が重要であり、本FAO事業はその目標達成に資するものと考えています。従来からJICAとしては開発パートナーとの連携を強く促進しており、本事業は2017年締結済のFAO-JICA間の連携協定をより一層強固にするものです。また、JICAは現在バロチスタン州・シンド州で農業・畜産技術協力を実施しています。このほか、JICAが無償資金協力として支援する資金によりFAOがハイバル・パクトゥンハ州の旧連邦直轄部族地域において農業と生計向上のプロジェクトを実施しています。今後もJICAはFAO等の開発パートナーと協働し、それぞれの強みを生かしながらパキスタン農業セクターの発展に貢献してまいります。
JICAの支援と長期的なパートナーシップに感謝し、FAOパキスタン国事務所臨時代表レベッカ・ベル氏は、「バロチスタンとシンド州政府との協力を通じて、このプロジェクトは脆弱な農村世帯の食料と栄養不足に対処するために大きな貢献となります。我々の研究によれば、食料生産の量、品質と多様性を増やすことによって、家庭で健康的な食事を摂取することができる、そして家族が長期的にうまくいけば、子供の成長不良の改善と食品のロス、食料安全保障に貢献することも示唆しています。FAOは、サバクトビバッタの監視と制御活動における政府機関の能力を強化し、パキスタン政府とともに支援の最前線にい続けます」と、述べました。JICAもまた、FAOの生計と食料安全保障の活性化において、重要な開発パートナーであり続けています。
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