所長あいさつ

【画像】

2019年1月に赴任しました、パレスチナ事務所長の阿部俊哉と申します。

パレスチナは地中海の東側の沿岸地域にあります。ヨルダン川西岸地区とガザ地区という二つの地区から成り立っていて、人口は約495万人です(2017年。西岸は約300万人、ガザは約194万人)。西岸にはなだらかな丘陵地帯や海抜下400メートルの死海やヨルダン渓谷があり、世界最古の都市といわれるジェリコや、イエスが生まれたベツレヘムなどの歴史的な街があります。また、ガザは古代エジプト時代からエジプトとシリア地方とを人々が往来する交通の要衝でした。

パレスチナの人たちは紛争の歴史に左右されてきました。1948年の戦争で故郷を失ったパレスチナ難民の数は今日は587万人(2017年)に達して、彼らは西岸やガザだけでなく、ヨルダン、シリア、レバノンなどの周辺アラブ国にも住んでいます。また、1967年の戦争では西岸とガザがイスラエルの占領を受けました。今でも人々の暮らしはそうした紛争の影響を受けています。

日本政府は、1993年9月にパレスチナ解放機構(PLO)とイスラエルとの間で結ばれたオスロ合意を切っ掛けにパレスチナへの支援を本格的に始めました。1993年から2017年度までの支援は累積で合計約18.6億ドルに上ります。

JICAもオスロ合意の前からUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)などの国際機関を通じたパレスチナ支援を行ってきました。そして、オスロ合意を契機としてパレスチナ人への技術協力や、病院や学校などの施設建設や機材供与などの無償資金協力を開始して、1998年にはガザに現地事務所を開設しました。JICAの支援は、保健や教育のような基礎的なサービスの提供、難民を始めとする社会的に困窮した人々の保護、パレスチナ自治政府の行政能力の向上、農業、観光業などの産業振興による経済的な自立支援を目指して、パレスチナ人への技術移転や日本人専門家の技術指導による人材育成、また日本の民間企業やNGOとの連携事業など、人と人を介した協力を行ってきました。さらに最近では、インドネシアやマレーシア、タイを始めとするアジア諸国とも協力して、彼らの貴重な知見や経験をパレスチナの発展に役立てようとしています。

和平の見通しが立たない難しい状況のなかで、私たちは日本からの支援がパレスチナの社会や経済の発展に貢献できるような、そして、日本の人たちとパレスチナの人たちとの架け橋になれるような協力を行っていきたいと思います。

JICAパレスチナ事務所長
阿部俊哉