JICA専門家を偲んだカンファレンスホールの命名式-パレスチナ「平和と繁栄の回廊」プロジェクトに尽力された松澤専門家-

2020年11月8日

パレスチナ事務所 企画調査員 水野真鈴

去る2020年10月6日(火)、国民経済省ハーリッド・アル・オセイリ大臣を長とするパレスチナ自治政府職員一行が、JICAの支援するパレスチナ自治区ヨルダン川西岸内の工業団地「ジェリコ農産加工団地」を訪問し、同団地内の会議室を「松澤猛男カンファレンスホール」と命名する式典を開催しました。

松澤猛男専門家は、ジェリコ農産加工団地の開発に関するプロジェクトを実施する株式会社パデコの専門家チームの総括として2009年よりプロジェクトに従事され、類まれなリーダーシップをもってパレスチナ自治政府職員の能力強化などに精力的に努められました。しかしながら、2019年8月18日に63歳という若さで他界されました。

松澤専門家の指導を受けていたパレスチナ自治政府職員は、同専門家に深い尊敬と感謝の念を抱いており、この悲報に大きなショックを受けました。特に関係の深かったパレスチナ工業団地・フリーゾーン庁(PIEFZA)職員一同の発案により、団地内の会議室を「松澤猛男カンファレンスホール」と命名することが決定され、国民経済省大臣自らが式典に参加することとなりました。式典には、在パレスチナ日本政府代表部所長、JICAパレスチナ事務所長らも同席し、同専門家への感謝の思いを共有しました。

松澤専門家は、2009年より「ジェリコ農産加工団地のためのPIEFZA機能強化プロジェクト」、「ジェリコ農産加工団地運営・サービス機能強化プロジェクト」、「産業振興プロジェクト」のプロジェクトに総括として従事され、延べ10年に亘ってパレスチナ民間セクターの振興に貢献されました。PIEFZA職員の能力強化を行い、同職員が実施する工業団地の開発計画の進捗管理、ディベロッパーの選定、入居企業の誘致や企業に対するインセンティブ設定などの活動を支援、強力に牽引されました。同専門家によるこれらの支援の結果、現在(2020年11月時点)ジェリコ農産加工団地では16の企業が稼働し、さらに10以上の企業が稼働準備を進めるなど、地域の雇用創出に貢献しています。

改めて、我々JICA事務所員とプロジェクト関係者一同は、松澤専門家に哀悼の意を捧げ、またこれまでのご尽力に御礼申し上げるとともに、パレスチナの民間セクターの振興に一層貢献していく所存です。

命名式の様子、松澤専門家とPIEFZA職員

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2020年10月6日撮影

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2017年12月3日撮影

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