第三国研修「エコシステムベースの参加型流域管理」(2021年度・第4回研修実施報告)

2021年11月2日

2021年10月11日から15日まで、パナマ環境省が主催する第三国研修「エコシステムベースの参加型流域管理」が実施されました。本研修は、今年で4回目となり、過去27年に渡り日本とパナマが環境保全分野で実施してきた協力の成果を中南米地域の参加対象国に伝え組織横断的な流域管理手法の実践について学びを深めることにより、各国の流域管理に関わる人材の能力強化及び域内の生態系保全と持続的な流域管理活動の体制確立を目指すものです。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、それまではパナマに各国の研修員を招き約2週間の講義やサイト視察を行っていましたが、今年度も遠隔研修としての実施を決定しました。

今回の研修には、中南米・カリブ諸国で流域管理や生態系保全に携わる政府機関(環境省や国家水資源庁)やNGO等から、パナマを含む計9か国(エクアドル、ボリビア、コロンビア、コスタリカ、ペルー、グアテマラ、エルサルバドル、ニカラグア、パナマ)、18名が参加しました。

研修初日に行われた開講式では、カウンターパートである環境省のコンセプシオン大臣及び水資源局ビクトリア局長より開会の辞が述べられた後、当機構の金川パナマ事務所長より挨拶がなされました。そのほか、外務省及び経済財務省からも経済協力課長が出席し、各国の研修員は多くの関係者に歓迎されながら初日を迎えました。

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研修会場の様子

研修員は、5日間で「パナマにおける流域管理政策と生活改善に係る経験」「人為的活動による生態系への影響」「生活改善アプローチ」「衛星技術を用いた森林破壊検出システム」等の14コマの研修を受講し、また5つのバーチャルサイト視察(現地視察が実施出来ないことから、対象サイトでのJICAの過去協力や環境省の取り組みをまとめたビデオ教材の視聴及びディスカッション)を実施しました。今年の研修では、実際のプロジェクトサイトからライブ配信で会場と繋ぎ、サイト担当者と各国の研修員が直接協議するというセッションも取り入れました。最終日には、5日間の研修を通して磨き上げたアクションプランにつき参加者より発表がなされ、また講師等からのフィードバックも行われました。

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ペルーでのJICA技術協力プロジェクトのコンサルタントによる講義の様子

その他、今年度は日本人講師を3名増員し、講義内容を更に充実させました。まず、ペルーにおいて2016年~2020年に実施された技術協力「森林保全及びREDD+メカニズム能力強化プロジェクト」に参加したコンサルタントより、プロジェクトの紹介と、衛星技術による森林伐採の検出方法やその利点等についての講義が行われました。

また、JICA本部及びニカラグア事務所講師によるJICAの防災分野における協力及び中米6か国で実施された技術協力「中米広域防災能力向上プロジェクトフェーズ2」についての講義も含め、研修員に、グッドプラクティスからの学びを通して、流域管理における防災等の多様な視点を含めることの重要性を伝えることが出来ました。

また、これまで、本研修に過去に参加した帰国研修員を招聘し、研修で作成したアクションプランの内容や、帰国後の進捗状況と現状についてプレゼンテーションを行っています。研修員と帰国研修員の交流の場を設けることで、今までの優良事例を講義を通して学ぶだけでなく、研修員が帰国研修員のネットワークを通じて、国境を越えた、同じ想いを持った同士の関係を強化することを目的としています。

JICAは引き続き、パナマ及び中南米地域における参加型アプローチによる持続的な統合流域管理体制の確立・普及を目指すべく、研修員や関係機関の活躍を支援していきます。

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環境省職員が研修の進行を行う様子

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環境省職員による講義の様子

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ペルー研修員アクションプラン発表の様子