【ペルーJICA海外協力隊派遣40周年記念インタビュー】vol.8 辻埜 太一 隊員

2020年12月7日

ペルーJICA海外協力隊派遣40周年を記念し、歴代隊員にインタビューを実施しました。

氏名:辻埜 太一
配属先:ペルー地球物理学研究所 国立ムツミ・イシツカプラネタリウム
隊次:平成26年度3次隊
任地:リマ市
職種:理科教育
派遣時期:2015年1月~2018年1月

1.ペルーの印象について教えてください

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ペットボトルロケット打ち上げ。リマ市内で行われたとある天文イベントでペットボトルロケットを打ち上げました。たくさんの方が興味津々で来られて、とてもびっくりしました。

リマの空港に降りたとき、とても緊張していました。治安には気を付けなければいけないと訓練所の研修で聞かされていたので、ずっと気を張っていたのだと思います。調整員さんが空港に迎えに来てくださったとき、とてもホッとしたのを覚えています。

リマは大きな街で、新市街はとてもモダンでおしゃれな印象でした。このような都会で協力隊員が働くの?というのが正直な第一印象です。少し拍子抜けでした。旧市街は世界遺産に登録されており、ヨーロッパを思わせるようなとても美しい街です。しかし、少し市街地から外れると、依然、広大なスラム街が広がっており、国民の収入格差の大きさを目の当たりにしました。

食べる食事はどれも美味しく、特にセビーチェと呼ばれる生魚をレモンなどで味付けしたものは、今でも私の大好物です。そして、最初の数か月はスペイン語が全くわからず、あたふたするばかりでしたが、いつでも明るく、なおかつ真摯なペルー人の人柄にたくさん助けられました。全てのものがアジアにはない、ラテン文化の独特な雰囲気で培われてきたものなのだなと感じました。

2.活動について教えてください

ペルー地球物理研究所国立ムツミ・イシツカプラネタリウムで、天文・科学普及活動に従事しました。初めの数カ月は何をすれば良いかわからず、悶々とした日々でしたが、プラネタリウム内の上司や同僚といろんな企画を立てて、天文・科学普及活動にあたりました。

赴任4か月目に街中で行われる天文イベントに参加する機会があり、そこでペルーの部品のみで作った自作のペットボトルロケットを打ち上げました。ペルーでの、私の最初の感動体験です。大人も子供も、ペットボトルロケットを初めて見るのか、大きな人だかりが出来ていました。

それを機に、リマ市内の学校を対象に、同僚と協力しながら出張ペットボトルロケット教室や天文教室を行いました。また、プラネタリウム内の待ち時間にサイエンスショーを披露する機会も頂き、多くの子供たちに科学の楽しさを伝えることができました。

その他、ペルーに進出している日系企業の協力を得ての遠隔電池作り教室や、日本の科学館や国立天文台とテレビ電話をつなぎながら行った遠隔サイエンスショーや天文講座も行いました。スペイン語の通訳をしながらで大変でしたが、ペルーの人たちに日本のことを知ってもらえるとても良い機会だったと思います。

3.当時の隊員の経験が今現在の自分に与えている影響はなんですか

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地方の小学校で、ペットボトルロケット作り。ワンカイヨというアンデス山脈地方の学校でペットボトルロケット作り、みんな楽しそうに作業に励んでいました。

今でも私はペルーに住みながら、教師として仕事をしています。青年海外協力隊に来る前は、大学の研究員として、教育とは無関係の世界で仕事をしていました。

ペルーに来てから、子供たちの人懐っこさや科学に対する好奇心の大きさに触れ、教育を自分の今後の人生の主軸に置きたいと思いました。日本の子供たちもペルーの子供たちも、世界のどこに行っても子供たちの持っている素直さや好奇心は変わりません。もし教育を自分のメインの仕事にできたら、アジアやラテンアメリカといった国や地域の枠組みを越えて、いろんな世界の子供たちの未来のために働けるのかもしれないと考えました。それはとても素敵なことだと思います。

協力隊で行ったサイエンスショーや色々な実験講座の経験を基に、今でも子供たちにワクワクした気持ちを届けられるよう日々、努力を続けています。

4.現在ペルーで活動している隊員たちへのメッセージをお願いします

ペルーはとても楽しく、ワクワクする出来事がいっぱいです。美味しい料理に舌鼓をうったり、ペルーの人たちの温かい人柄に触れたり、とにかく毎日が新しい発見です。ボランティアとしての活動先でも、意見や考えの違いで同僚ともぶつかり合うかもしれません。でも、常に感謝とリスペクトの気持ちを持っていれば、最後には全てが上手くいきます。

ペルーという国を楽しんでください。ボランティアとしての仕事を楽しんでください。活動が終わる頃には、自分の中に確かなものを得て、帰国できるはずです。そして、ペルーが大好きになっているはずです。みなさんのボランティア活動が実りのあるものでありますように!

5.最後にペルーの皆様へのメッセージもお願いします

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サイエンスショー。プラネタリウムの中で、たくさんのサイエンスショーを行いました。子供たちにも積極的に参加してもらいました。

ペルー地球物理研究所国立ムツミ・イシツカプラネタリウムの上司や同僚のみなさんをはじめ、たくさんの大切な人とこの国で出会うことができました。ペルーでボランティアとして働けたことで、自分の未来をとてもポジティブなものに変えることができました。素晴らしい歴史や文化が色濃く残るペルー、そしていつも明るくポジティブなペルーの皆様が大好きです。これからの人生もずっとペルーにお世話になると思います。大好きなペルー、そしてペルーの皆様、これからもよろしくお願いします。