生きるために必要なもの…栄養、休養、そして人生を豊かにするスポーツも。

2019年8月30日

2017年度3次隊 的野 慶子
所属:ペルー国水泳連盟
職種:水泳

活動紹介

今私は、ペルーの首都リマでシニアボランティア水泳隊員として、水泳連盟のプールでボランティア活動を行っています。主な活動は、パテラと言って深さ60センチの子ども用専用プールで、3歳から6歳までの子ども対象に水慣れを目的に水泳を教えています。2019年1月から、活動も2年目に入り、4月から火曜日、水曜日は日系スポーツクラブで高齢者の方々を対象に水中運動を行うことにしました。

JICAボランティア活動を通じて考えたこと

スポーツはいろいろな顔を持ちます。遊びであり、ゲームであり、教育であり、身体鍛錬であり、そしてリハビリテーションでもあります。スポーツを通じての国際交流も盛んに行われています。ペルーに着任して、3歳から6歳の子どもの水泳練習にかかわっていると、水泳はそれらの要素すべてを含んでいるなと思う時があります。最初プールに入ることを怖がっていた子供が、私たちの指導によって、少しずつその警戒心を解いて行きます。そして、慣れてきた子どもたちは、いつまでも楽しそうに水と戯れるようになります。それでも、楽しそうに遊んでばかりはいられません。子供たちは、いろんな技術を習いながら、時にはつらい練習を繰り返しながら、さらに形よく、きれいに、そして早く進めるようになっていきます。ところが、人生は前進するばかりとは限りません。いつか必ず折り返し地点を迎えます。体を動かさないでいると次第に体は弱ってきます。そこで有効と考えられるのが、スポーツによるリハビリテーションです。楽しみながら、体を動かし、老化現象を少しでも遅らせることは、内科医が薦めている「リハビリテーション」としての水泳の効果です。

高齢者向け水中運動クラス

以前スイミングスクールで水泳を教えていた時、水中運動クラス、流水クラスも担当していました。水中運動クラスは、水の4つの特徴である水圧、水温、浮力、抵抗力を利用しながら、体に優しい運動を目指すものです。流水コースとは、機械でプールの水に渦を起こし、それに対抗して歩いたり浮いてみたりして、皮膚に刺激を与えて水中歩行に変化を付けたものです。これがとても人気があって、いつも大勢の参加者がいました。
ペルーに着任以来、水中運動の指導ができる場所を探ってきましたが、なかなか見つかりませんでした。実施条件が合わないのです。理想として水深は、胸あたりまで、水温は高め(32度から33度)でなければなりません。そしてプールの入退場時に手すり付き階段状の補助具が必要となります。この条件に近い状態が、前述の日系スポーツクラブにあったのです。水深は浅いところで120センチ、深いところで130センチなので、ちょっと深すぎます。私なら、鼻までつかってしまいます。しかし、水温は、31度前後です。素晴らしいことに手すり付き階段までありました。「よし、ここなら出来るぞ」と思った瞬間でした。

この日系スポーツクラブの中に、高齢者プログラム(PAMA:Programa Adulto Mayor AELU)の施設があります。高齢者(65歳以上)が参加出来る、各種スポーツ、言語学習、楽器練習、カラオケ、絵画など幅広い分野の講座が開設されています。このプログラムの中で、水中運動講座を開催するため、担当者と話し合いを繰り返し、7月から講座が開設できました。参加希望者は多く、主催者側では、人選に苦労されたようでした。プログラムでは、ボランティアの帰国後も、このクラスが続けられるように、指導候補者を2人付けてくれています。彼女たちの存在は、非常に心強く感じられます。今はまだ、各参加者個人が感じている体の問題に対して、改善が表れているかどうか分かりませんが、参加者の表情を見るかぎりでは、悪くはないように思えます。

今後の目標

子どもの水泳クラスでは、楽しかった・頑張れたと感じられる指導を、高齢者の水中運動クラスでは、ああ気持ちよかった・体が動かしやすくなったと感じられるような支援をしていきたいと思います。

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