ボランティアの意義とは-2年間を通して学んだこと-

2020年1月7日

2017年度3次隊 志賀 容子
所属:ラ・リベルター州政府通商観光局
職種:観光

私が住んでいるラ・リベルター州トルヒーヨ市は首都リマから飛行機で約1時間のところにあり、ペルー第3の都市と言われています。中心部には出店が立ち並び、夕方になると多くの人で賑わいます。ラ・リベルター州政府通商観光局には観光・商業・手工芸品の各課があり、自身が担当する観光課は、主に観光客の統計に関する集計、ホテルの営業認定、観光向けレストランの品質チェックなどを定期的に行っています。また州内の観光イベント支援、観光サービス業に関するワークショップの開催などを行っています。私は新たな観光ツアーの開拓、地元大学2校とコラボレーションしたインスタグラムのアカウント開設、観光サービス業従事者向けの日本語教育等を行っています。

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ワンチャコ湾の夕暮れ時

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観光危機管理のワークショップ

活動開始前にコミュニティや仕事場でどのような課題に直面していたのか。

観光課には4名の同僚と観光副局長がいましたが、今では同僚は3名しかおらず、慢性的な人手不足の状態が続いています。しかしながら、常時大学の実習生がいるため仕事は回っている状態です。活動について相談できる同僚はいるが、常にボランティアに同行して仕事をすることは難しい状況でした。また、実際に配属先が主体となって行う観光促進に関する活動は少ないように感じました。

活動/介入

まず、現地の情報を把握するため主要な観光地を巡りました。また、旅行代理店に赴き、どんなツアーがあれば参加してみたいか、また新たにツアーを作るとしたらどんなツアーを観光客に提供したいかという2つの点に注目してアンケートを実施しました。その結果を元に現地でしかできない新規体験ツアーを作ることにしました。また、日本語を習いたいという意見も多かった為、週2回観光サービス業者を対象とした日本語講座を開講しました。さらに、観光課のある地元の大学2校と連携してインスタグラムにラ・リベルター州の観光情報を提供するアカウントを開設し、記事を載せました。他にも、他国のボランティアと共同で観光危機管理に関するワークショップを行う等、日本の観光の発展について観光フォーラムで話しをすることが出来ました。

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日本語講座

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大学生を対象に観光向けインスタグラム開設について説明をしている様子

アウトプット

体験型ツアーを企画する為、ワンチャコ湾のレストラン、手工芸家を訪問し現地の状況を把握することができました。日本語講座に関しては場所の確保に時間を要し、実施に至るまで数か月かかってしまいましたが、20回以上、合計18名の方が日本語会話を中心に学びました。また、インスタグラムは開設後、1か月以内に127名以上の方が登録し好評を得ています。

アウトカム

2年間も知らない土地で活動することは精神的に楽なものではありませんでした。時間に対する概念や言葉の軽さ等、日本とは全く異なり頭を抱える時もありました。しかし、色んな人と関わるなかで、ペルー人の考え方や文化を前向きに受け入れる柔軟性や忍耐力が身に付きました。

学び

2年間の活動を通して学んだことは、一人では何もできなかったということです。職場全体を巻き込んだ活動はほとんどできませんでしたが、色んなところを訪問し、自分の手で協力者を求めながら活動範囲を広げていくプロセスは間違いなく自分にとって大きな財産となりました。

新たなチャレンジ

配属先のボランティアへの活動の無関心をどのように変えていくのか、私には活動に親身になって話を聞いてくれる同僚はいましたが、配属先全体を巻き込んでの活動がほとんど出来ませんでした。次に来るボランティアの為にも青年海外協力隊の活動とは何なのか、JICAの意義とは何なのか、職場やコミュニティ全体で話し合う場が必要だと考えます。