ペルー国アマゾン産きのこ

2020年1月17日

2018年度2次隊 辻 孝治
所属:ペルーアマゾン地域調査庁
職種:きのこ栽培

活動紹介

こんにちは。私はペルー北東に位置するイキトスという都市できのこ栽培の普及活動をしています。アマゾン川の支流と広大なジャングルに囲まれた都市で、陸路では行くことができない世界最大都市として知られています。日本の沖縄地方のような亜熱帯の気候で日中の気温が年中30度を超えるので、きのこ栽培においては高温に注意しなくてはならない環境です。この地域では、元々先住民がジャングルに生えているきのこを採取し、食材として利用していました。しかし、現代では河川舟運によって食材が容易に入手できることから、ジャングルで食材を調達することが無くなり、きのこを食べる習慣が廃れてしまいました。そのため現地住民のほとんどは市場で売られているマッシュルーム以外のきのこを食べたこともなければ、見たこともないという状況になっています。きのこ栽培の技術も伝わっていないため、栽培用の器具や材料を自身で揃えなくてはならず、ゼロの状態からの活動開始となりました。

ヒラタケ栽培法の構築

活動初期においてはジャングルできのこの生態調査を行い、どの種類の食用きのこが現地において生産できるかを特定させることをしました。そのなかで繁殖力が強いとされるヒラタケの自生を確認したため、現地で普及させる種類のきのことして試験栽培することになりました。ヒラタケの種菌はペルー国内でも生産されていたため、容易に入手できましたが、きのこを生やす土台となる菌床の材料の入手が問題でした。よって市場へ度々行き、捨てられている食材で再利用できそうな物を探し、製造実験して試すといったことを繰り返し行いました。結果、バナナの皮とサトウキビを絞った後の茎を混ぜた物が現段階における最適な菌床の素材で、まとまった量のヒラタケが収穫できるようになりました。また、きのこ栽培において重要過程である殺菌においては、容易で安全、手間とコストがかからないことを考え、1週間材料を石灰水に浸すといった方法取り入れています。しかし、順調にヒラタケが育つときもあれば、アオカビ等の雑菌の発生や、コバエのような虫が菌床についてしまうことで、きのこが全く生えない時もありました。よって収穫量を安定させることが課題です。より精度の高いきのこ栽培の構築を任期終了まで突き詰めたいと思います。

普及活動の開始

ヒラタケを生産できる段階まで進めてからは、ヒラタケ栽培の普及活動に力をいれることになりました。実際にヒラタケが生えている菌床を現地の小中学校、集会場へ持ち込み、住民が集まる中で実物の展示を行い、栽培方法の説明を行っています。今後の計画として、収穫したヒラタケを用いた試食会を開催し、現地の料理に活用できないか模索します。また栽培希望者を募り、現地生産者による製造検証を予定しています。

今後の目標

これまでの活動から、任地において未知な物を普及させることは手間がかかること、難しさを感じています。おそらく2年の活動期間において、最終的にきのこ栽培技術が現地で普及することになるのか、任期中では確認できないと思われます。しかし生産者にとって新しい収入源となること、新しい食材として有効活用できる可能性がある事を現地住民の間で周知させることを目指し、残りの活動期間、悔いが残らない活動を行います。

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