ブラジル「持続的な林産業支援」に対する融資契約の調印(海外投融資):IDB Investとの初の協調融資

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2020年4月1日

融資対象となるクラビン社工場

国際協力機構(JICA)は、3月31日、ブラジルの製紙・パルプ製造会社であるKlabin S.A.(クラビン社)に対し、最大72百万米ドルを供与する融資契約を締結しました。本事業は、JICAにとってブラジルにおける2件目の海外投融資であり、米州開発銀行(Inter-American Development Bank:IDB)グループの米州投資開発公社(IDB Invest)(*1)との初の協調融資となります。

全世界の経済成長により、紙を含む林業産品の需要は増加傾向にあり、自然林伐採によらない合法かつ計画的な森林経営の促進と持続可能なサプライチェーンの構築が重要な課題となっています。本事業では、クラビン社がブラジル南部のパラナ州に所有する既存の紙・パルプ工場の拡張を行うもので、バイオ燃料の使用推進による二酸化炭素の排出量の抑制も期待されます。クラビン社は1899年に創業し、植林事業及び紙・パルプの製造工程において、南半球初となるForest Stewardship Council®(FSC、森林管理協議会)による認証を取得しており、同社が使用する木材は100%FSCの基準に準拠した植林由来です(*2)。また、広大な自社保有林(約50万ha)の40%以上を自然林として自主的に保全しているほか、外部調達先である木材生産者のFSC認証取得の支援や地域に対する林産業人材育成プログラムを実施するなど、持続可能な産業形成・環境保全に力を入れている企業です。

本事業は、ブラジルの持続可能な林産業の発展・サプライチェーンの強化に寄与するとともに、気候変動影響緩和に資するものであり、SDGs(持続可能な開発目標)ゴール9、12、13、15、17に貢献します。

また、本事業はIDB Invest及び国際金融公社(International Finance Corporation:IFC)との協調融資となります。また、三井住友銀行、三井住友信託銀行などの民間金融機関による資金動員も実現しています。JICAは、これからも開発金融機関、民間金融機関及び民間企業との連携を積極的に推進し、開発途上国・地域の経済社会開発及び世界的課題解決に取り組んでまいります。


(*1)IDB Investは、中南米・カリブ地域の民間セクター支援を通じて経済発展を促進することを目的に設立された国際開発金融機関で、IDBグループの一機関です。IDB Investは、経済利益の達成と同地域の経済・社会・環境の発展のために、持続可能な企業やプロジェクトに投融資を行います。現在、融資残高121億米ドル、24ヶ国に333の顧客を有し、様々な業種の顧客ニーズに応えるイノベーティブな金融ソリューション及びアドバイザリーサービスを提供しています。JICAは、2018年3月、IDB Investと中南米の途上国の民間セクターに対する両機関の協調投融資促進のための覚書を締結しています。

(*2)Forest Stewardship Council®は、責任ある森林管理を世界に普及させることを目的とする国際的な独立非営利団体です(1994年設立)。木材を生産する森林及びその森林から切り出された木材の流通や加工のプロセスについて、森林の環境保全に配慮し、地域社会の利益にかない、経済的にも継続可能な形で生産された木材に対して、認証を行っています。