JICAが出資する信託基金“LEAP”を通じた支援(海外投融資):アフガニスタン初の民間事業者によるガス火力発電所への融資

2020年6月19日

6月17日、JICAが出資する『アジアインフラパートナーシップ信託基金 (“Leading Asia’s Private Infrastructure Fund”:LEAP)』を活用し、アジア開発銀行(ADB)がアフガニスタンにおけるガス火力発電事業への融資契約に調印しました。

本事業は、アフガニスタン北部のマザーリシャリーフにおいて58.56メガワットのガス火力発電事業(総事業費8,900万ドル)に対して長期融資を供与するもので、ADBの融資には、直接融資1,000万ドルと、LEAPによる融資1,000万ドルが含まれています。本事業にはアフガニスタン最大のグループ企業であるGhazanfar Group及びエジプトの建設会社Hassan Allam Holdingsがスポンサーとして参画し、国際金融公社(IFC)やドイツ投資開発公社(DEG)も協調融資行として参画します。

アフガニスタンでは電力普及率が34%と世界で最も低く、発電容量向上が喫緊の課題となっています。また、2005年以降アフガニスタンのエネルギー需要の伸びは経済成長率の約2倍となっている一方で、少なくとも電力の75%は近隣諸国からの輸入に頼っています。本事業は、アフガニスタン国内で生産されるガスを活用し、年間404ギガワット時の電力をアフガニスタン国内に供給するもので、電力輸入を削減し、エネルギーの安定供給に寄与します。また、アフガニスタン初の民間事業者によるガス火力発電事業であり、今後の更なる民間事業者による発電事業参入の呼び水となることが期待されています。

LEAPは2015年11月21日に日本政府より発表された「質の高いインフラパートナーシップ」のフォローアップ施策において言及され、アジア及び大洋州地域の質の高い民間セクターのインフラ案件を対象とし、民間セクターが官民連携パートナーシップ(PPP)等の様々な形態を通じて実施するインフラ事業に対して、出融資による支援を行うものです。

JICAは2016年3月にLEAPに対して15億ドルの海外投融資による出資を承諾しました。業務開始以降、これまで累計5億ドルの出融資承諾を行い、インドやインドネシアでの保健事業やモンゴルやタイでの再生可能エネルギー事業等、幅広い分野で質の高いインフラ事業への支援を行っています。LEAPは現時点で16案件に対する出融資を行い、ADBの自己勘定及び他の協調出融資パートナーから累計62億ドルの資金動員をしています。LEAPはアジア太平洋のADB加盟国における質の高い、持続可能な民間セクターによる幅広いインフラ事業を支援しており、支援対象分野は温暖化ガス削減、省エネルギー、良心的な価格での医療サービス等多岐にわたります。
 
JICAは今後も各国・国際機関と協働し、「質の高いインフラ投資」を推進し、「持続可能な開発目標(SDGs)」も踏まえた開発途上国・地域の経済社会開発に貢献していきます。