JICAが出資する信託基金“LEAP”を通じた支援(海外投融資):バングラデシュ最大の民間事業者によるガス火力発電所への融資

2020年7月31日

7月30日、JICAが出資する『アジアインフラパートナーシップ信託基金 (“Leading Asia’s Private Infrastructure Fund”: LEAP)』を活用し、アジア開発銀行(ADB)がバングラデシュにおけるガス火力発電事業への融資契約に調印しました。

本事業は、バングラデシュ中央部のダッカ近郊メグナガットにおいて、718メガワットのガス複合火力発電事業に対して長期融資を供与するもので、民間事業者によるガス火力発電所として当国最大の規模となります。ADBの融資には、直接融資1億ドルと、LEAPによる融資1億ドルが含まれています。本事業には、東京電力グループと中部電力の合弁会社である株式会社JERAがスポンサーとして参画し、国際協力銀行(JBIC)との協調融資であり、また4つの商業銀行も日本貿易保険(NEXI)の保険の下で協調融資に参画します。

バングラデシュでは、過去10年に亘り発電容量が増加しているにも関わらず、既存の国内発電容量では増大する電力需要を満たせず、電力を輸入しています。本事業は、天然ガスを活用したガス複合火力発電所であり、同国の発電容量を4%向上させます。本事業を通じた高エネルギー効率の発電は、拡大する電力および天然ガスの需給ギャップの縮小、産業と経済の持続的な発展に不可欠であり、また電力輸入量を削減し、高負荷・高コストな燃料の使用削減に寄与します。また本事業は、将来の同様の大規模発電所の建設に向け、今後の更なる民間資金動員の呼び水となることが期待されています。

LEAPは2015年11月21日に日本政府より発表された「質の高いインフラパートナーシップ」のフォローアップ施策において言及され、アジア及び大洋州地域の質の高い民間セクターのインフラ案件を対象とし、民間セクターが官民連携パートナーシップ(PPP)等の様々な形態を通じて実施するインフラ事業に対して、出融資による支援を行うものです。 JICAは2016年3月にLEAPに対して15億ドルの海外投融資による出資を承諾しました。LEAPは、アジア太平洋のADB加盟国における質の高い、持続可能な民間セクターによる幅広いインフラ事業を支援しており、支援対象分野は温暖化ガス削減、省エネルギー、良心的な価格での医療サービス等多岐にわたります。

JICAは今後も各国・国際機関と協働し、「質の高いインフラ投資」を推進し、「持続可能な開発目標(SDGs)」も踏まえた開発途上国・地域の経済社会開発に貢献していきます。