北岡理事長がベトナムを訪問:新型コロナウイルス感染拡大後初の海外訪問、フック首相と面談のほか、再赴任した海外協力隊を激励

2020年12月15日

北岡伸一JICA理事長は、12月9日から11日にかけて、新型コロナウイルス感染拡大後、初めての海外出張としてベトナム社会主義共和国を訪れました。グエン・スアン・フック首相との会談のほか、ベトナムへの再赴任を果たした海外協力隊を激励しました。

1.フック首相との会談

フック首相との面談

冒頭、フック首相からベトナムへのJICAの協力に対して感謝の言葉が述べられ、北岡理事長からは、同国中部地方で連続した台風や豪雨の被害に対してお見舞いを申し上げたのち、新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込んだベトナムの取り組みに対する賛辞を伝えました。北岡理事長は、JICAが1966年よりベトナム南部のチョーライ病院に対する協力を開始して以来、長年にわたる「予防・警戒・治療」を柱とする保健・医療分野への包括的な協力を更に深化させ、保健医療システムの強化を進めて行きたい旨述べました。

北岡理事長は、新型コロナウイルスのパンデミックを受け、サプライチェーンの再構築が迫られている現状は、ベトナムの更なる発展にも好機であると指摘し、さらに、船舶の自由な航行のための海上保安協力や、ASEAN諸国との連携強化を含む人材育成への協力を進める旨伝えました。加えて、日越関係の更なる深化のため、日越双方の有識者によるハイレベル対話を行う枠組みについて提案しました。

これを受けて、フック首相は、賛同を示した上、これまでの多くのインフラ整備、先の台風被害等に対する日本の迅速な支援に感謝すると発言しました。また、日本の政策である「自由で開かれたインド太平洋」を歓迎し、日越の広範な戦略的パートナーシップという特別な信頼関係を前提に、今後も経済、貿易、投資、観光等の分野に加え、医療、海上保安における協力を強化していきたい旨述べました。

2.JICA理事長賞の授与及び医療機材目録の引渡し

バックマイ病院への医療資機材の目録の引渡し

ベトナム国内で迅速な検査体制を構築し、新型コロナウイルス感染拡大防止に貢献した国立衛生疫学研究所に対するJICA理事長賞の授与や、北部地域で長年JICAが協力を行ってきたバックマイ病院に対する、新型コロナウイルス感染症対策のための医療機材目録の引渡式典を行いました。

3.海外協力隊の激励

北岡理事長(右)と海外協力隊員との意見交換

新型コロナウイルス感染拡大に伴い一時帰国していたJICA海外協力隊員4名が、11月25日に現地に再渡航し、14日の隔離期間を終えて活動を再開することになりました。北岡理事長は、隊員を前に、現地の人々と共に生活しながら相互理解を深め、開発途上国の発展に寄与する海外協力隊の活動は高い評価を得ており、世界に貢献したいと申し出てくれた隊員の代表選手として、4名が再赴任してくれたことを誇りに思うと激励しました。合わせて、適切な感染予防を行うとともに、不安があればいつでも相談して欲しいと伝え、JICAの一員である隊員一人ひとりの声を大事にしながら一緒に対応していきたい旨伝えました。

ハノイ市の中央高齢者病院で作業療法士として協力を行う西山典子隊員、トゥアティエン・フエ省の障害児・遺伝相談基金で障害児・者支援を行う清水沙悠梨隊員、ホーチミン市の西側に位置するロンアン省総合病院で看護師として協力を行う大森美和隊員、メコンデルタのアンザン省チャウドック市人民委員会で観光の協力を行う種市香織隊員から、3月の一時帰国後、8カ月間にわたる日本での待機経験を踏まえた、活動再開の喜びと意気込みについてそれぞれ紹介し、「再派遣第一陣として、安全と健康に留意しつつ、国際協力の道を途絶えさせることなく繋いでいきたい」と力強く述べました。

 
JICAは、今後も引き続き、ベトナムに対して質の高いインフラ整備と人材育成を組み合わせた協力を展開し、ベトナムそしてASEAN全体の成長と安定に資するような協力を進めていきます。