緑の気候基金(GCF)との初の連携事業承認:東ティモールの森林保全による二酸化炭素削減と住民の生計向上

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2021年3月18日

苗木生産研修を受ける住民

国際協力機構(JICA)が「緑の気候基金」(Green Climate Fund: GCF)(*1)に申請した東ティモール「重点流域における森林減少抑制及び気候変動に対する地域レジリエンス強化のための住民主導型ランドスケープ管理プロジェクト」が、3月18日、オンラインで開催中のGCF第28回理事会において承認されました。GCFによるJICA提案事業の承認は本件が初めてです。

東ティモールでは、農地拡大のための森林伐採や過放牧により森林破壊が進んでいます。その結果、森林の劣化や生態系への悪影響が引き起こされ、温室効果ガスの排出増加に繋がっています。さらに、気候変動による洪水の増加は河川流域の住民生活へ悪影響を及ぼし、また、干ばつは農村地域住民の安定的な食糧の確保やそれに伴う生計手段の形成を危険にさらしています。

これらの状況に対処するため、JICAはこれまで長年にわたり、自然資源を活用して生活する人々と、自然の管理を行う政府機関が協働し、森林等の自然資源を持続的に保全・管理する自然資源管理モデルの構築支援に取り組んできました。

本事業では、同国4流域74村落において、そのモデルを用いて、森林の減少抑制及び再生に取り組みます。また、自然資源に生計を依存する対象住民(約48,000人)に対し、持続可能で気候変動の負の影響に対応できる農業やアグロフォレストリー(*2)などの生計手段を提案し、彼らの生計向上を図ります。本事業を実施することで、20年間で440万トン(二酸化炭素換算)の温室効果ガス排出削減が期待され、持続可能な開発目標(SDGs)ゴール13、15、17に貢献します。

今後もJICAは、開発途上国における脱炭素社会への移行や気候変動に強靭な社会づくりを支援していきます。

(*1)緑の気候基金(Green Climate Fund: GCF)は、2010年に設立された、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の資金メカニズム運営機関です。GCFは開発途上国において温室効果ガス削減(緩和策)と気候変動の影響への対処(適応策)を支援しています。

(*2)アグロフォレストリー:樹木を植栽し、樹間で家畜・農作物を飼育・栽培する農林業