米州開発銀行(IDB)グループとのパートナーシップ拡大に関する覚書に署名: 中南米・カリブ地域の経済回復及び社会包摂を促進

2021年3月24日

オンライン署名式の様子
右上:マウリシオ・クラベルカロネ総裁、右下:ジェームズ・スクリベンCEO、左:JICA北岡伸一理事長

国際協力機構(JICA)は、3月24日、米州開発銀行(Inter-American Development Bank:IDB)グループと、中南米・カリブ地域の経済回復及び社会包摂協力(Cooperation for Economic Recovery and Social Inclusion(CORE))を目指すパートナーシップ拡大に関する覚書に署名しました。署名式は、IDB及びIDB Lab(注1)を代表してマウリシオ・クラベルカロネ総裁、IDB Invest(注2)ジェームズ・スクリベンCEO、JICA北岡伸一理事長との間でオンラインにて行われました。

中南米・カリブ地域の2020年の経済成長率は、コロナ禍を受け、地域として世界で最も大きいマイナス7.4%に落ち込む見込みであり、貧困層の拡大や所得格差の更なる拡大が懸念されます。コロナ禍からの経済回復や誰も取り残さないインクルーシブな社会づくりが喫緊の課題となっています。覚書署名により、IDBとJICAは、これらの課題解決に向けて、質の高いインフラ投資の促進、自然災害への強靭性の強化(防災)、質の高い保健医療サービスへのアクセスの向上(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)をはじめとした国際保健に取り組むことを確認しました。

IDBとJICAは、2011年に「中南米・カリブ地域における再生可能エネルギー・省エネルギー促進に向けた協調融資枠組み」(Co-financing for Renewable Energy and Energy Efficiency)を締結し、再生可能エネルギー・省エネルギー、水・衛生、運輸・交通等の分野で協調融資を行ってきました。今回の覚書はこれを発展させるもので、この枠組みを5年延長した上で、これまでの質の高いインフラ投資をより促進させ、防災、国際保健分野にも協力対象を拡大しています。また、IDBグループで民間セクターに対する支援を行うIDB LabやIDB Investとの協力することで、民間セクターの強化を通じた経済成長を支援していきます。

JICAはこれからも、IDBグループとの協力を通じて中南米・カリブ地域における開発協力の推進に取り組んでいきます。

(注1)IDB Labは、IDBグループの中で民間投資促進を目的に技術協力や零細・中小企業育成等を行う「多数国間投資基金(Multilateral Investment Fund(MIF))」の別称です。IDB Labは、中南米・カリブ地域の人々の生活水準向上に向けた革新的なアプローチを実現するための「イノベーション・ラボ」として資金やノウハウを提供しています。1993年の設立以来、中南米・カリブ地域の26カ国で実証事業等を行い、拠出累計額は20億米ドル(約2,200億円)を超えます。日本はIDB Labにとって上位の出資国であり、重要な加盟国の一つとなっています。

(注2)IDB Investは、IDBグループの一機関として域内経済の発展寄与を目的に中南米・カリブ諸国の民間企業に対する投融資を行う「米州投資公社(Inter-American Investment Corporation(IIC))」の別称です。