ブラジル「北東部クリーン電化事業」に対する融資契約の調印(海外投融資):ブラジルの最貧困地域における電力供給の安定化を促進

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2021年3月31日

配電設備のメンテナンスを行うCoelbaの職員

国際協力機構(JICA)は、3月30日、ブラジル北東部のバイーア州において同国政府から事業権を得て配電事業を展開しているCompanhia de Eletricidade do Estado da Bahia(Coelba) との間で、同州における新規の各戸接続を含む配電設備の整備のために最大99億円を供与する融資契約に調印しました。本融資は、株式会社三菱UFJ銀行(MUFG)及びブラジル国立社会経済開発銀行(BNDES)との協調融資です。

ブラジルの所得格差は大きく、貧困率は比較的発展している南部では州人口の12.1%、最貧困地域の北東部では43.6%(約2,500万人)に上ります。また、電力系統に接続されていない未電化人口125万人のうち多くが北東部に存在しており、本事業の対象地である北東部最大のバイーア州には21.5万人が存在します。ブラジルの電源構成の73%は水力を中心とする再生可能エネルギーですが、未電化地域では、調理用には石炭や薪を、照明用には比較的電力単価が高いディーゼル発電機やケロシンランプを用いざるを得ず、貧困層の家計の圧迫、温室効果ガスの排出、植生への影響に加えて、家庭内火災・大気汚染等の安全・健康面でも懸念がある状況です。

Coelbaは過去20年以上にわたりバイーア州において配電サービスを提供し、600万軒以上の顧客を抱えています。本事業は、Coelbaが2021、2022年に実施する配電設備の整備のための資金を支援することで、電力系統未接続地域におけるディーゼル等の化石燃料を再生可能エネルギーで代替するとともに、電力ロス低下による省エネルギーを図り、気候変動対策に資するものであり、SDGs(持続可能な開発目標)の7及び13に貢献します。

また、本融資は、JICAにとって、MUFGがリードアレンジャー(*)を務める同行との初の協調融資となります。また、BNDESはブラジル政府傘下の開発銀行であり、JICAも所属する国際開発金融クラブ(IDFC)のメンバーでもあります。このような多様な金融機関と協調してブラジルの社会課題を解決することは、SDGsの17に貢献します。JICAは、今後も民間・公的セクター双方の様々なアクターと協調し、SDGsの達成を目指します。
(*)リードアレンジャー:融資団のリーダーとして借入人との調整を担う存在