ブラジル「保健医療セクター支援事業」に対する融資契約の調印(海外投融資):保健医療セクターへの支援を通じ、新型コロナウイルス対応に貢献

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2021年7月12日

【画像】国際協力機構(JICA)は、6月18日、ブラジルの民間金融機関であるItaú Unibanco S.A.(イタウ・ウニバンコ銀行)との間で、ブラジルの民間病院の体制整備や医療機器・製薬企業の同国内での供給力強化を図るために、最大1億5千万米ドルを供与する融資契約に調印しました。

ブラジルにおける新型コロナウイルスの感染状況は深刻で、2021年7月時点でも新規感染者数の拡大は収まらず、累計感染者数は1,900万人を超えインドに次ぐ世界第3位、累計死者数は53万人を超え米国に次ぐ世界第2位となっています。

ブラジルでは公的病院が予算不足により人材や資機材の確保に課題を抱えており、民間病院が国民皆保険システム(統一保健医療システム:SUS)の利用患者を受け入れることで低所得者層を含む医療サービスを支えていますが、新型コロナウイルス感染拡大による通院控え等で一般の外来・手術等が大幅に減少し、多くの民間病院が苦しい経営を強いられています。

また、ブラジルの医療機器の約50%、医薬品の約30%が輸入品であり、世界中で医療関連物資の需給がひっ迫する中で十分な輸入品確保が困難となる一方、国内の生産能力拡張も追いつかず、医療現場でのマスク、防護服、抗体検査キット、人工呼吸器等の物資不足も深刻化しました。

こうした新型コロナウイルス感染症拡大の影響によるブラジルの危機的な状況に対して、本事業では、イタウ・ウニバンコ銀行が展開する保健医療セクター向け融資のうち、特に新型コロナウイルス感染症患者を受け入れるSUS対応の民間病院及びブラジル国内に生産拠点を有する医療機器・製薬企業向けの融資を支援します。

イタウ・ウニバンコ銀行は、2008年に1943年設立のイタウ銀行と1924年設立のウニバンコ銀行の2行が合併して設立され、ブラジル国内において長い歴史と確かな実績を有する民間大手金融機関の一つです。これまでも保健医療セクター向け融資の豊富な実績があり、コロナ禍においても同セクターへの融資を積極的に実施してきました。

本事業は、JICAが新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた保健医療分野への取り組みとして掲げる「JICA世界保健医療イニシアティブ」に合致する初めての海外投融資案件です。ブラジルの民間保健医療セクター向けの支援を通じて医療体制の強化及び新型コロナウイルス感染拡大への対応に寄与するもので、SDGs(持続可能な開発目標)のゴール3(「全ての人に健康と福祉を」)とゴール17(「パートナーシップで目標を達成しよう」)に貢献します。