タイ都市鉄道レッドラインが開通:バンコクで2例目となる日本製車輛の導入

2021年8月2日

新たに導入される日本製鉄道車両

新バンスー中央駅舎

タイ国鉄(SRT)職員による車内解説

開通式典の様子

8月2日、バンコク中心部とドンムアン空港、タリンチャン、パトゥムタニー県ランシット等を結ぶ新都市鉄道レッドラインの開通式典が開催されました。

開通式典には、タイ側からはプラユット首相、サックサイアム運輸相、ニルット・タイ国鉄(SRT)総裁などが、日本側からは梨田在タイ日本国大使や森田 JICAタイ事務所長に加え、本事業の建設等を請け負った日系企業コンソーシアムの関係者が出席しました。

JICAは、SRTが運行を開始する総延長41.3kmの新都市鉄道レッドラインのうち、メインとなる北線バンスー~ランシット区間(26.3km)や新バンスー中央駅の建設の他、全線で用いられる車両及び電気設備等を含む新都市鉄道システムの建設を計2,680.81億円の円借款により支援しました(注)。

JICAはこれまで、バンコク初の地下鉄であるブルーライン(2004年開業)や、バンコク郊外(北西部)と都心北部を結ぶパープルライン(2016年開業)の建設を円借款を活用して支援しています。レッドラインの車両及び電気設備等は日本の企業コンソーシアム(三菱重工/日立製作所/住友商事)により製造・納入され、パープルラインに続いて2例目となる日本製鉄道車両が採用されました。また、本事業の一環で建設された新バンスー中央駅は、旧来のフアランポーン駅に代わってタイを代表する新たな長距離路線のターミナル駅となり、将来は高速鉄道や国鉄在来線が乗り入れる予定です。

バンコク首都圏では、都市部の産業活動の活発化に伴い、自動車等の車両数が増加しているものの、自動車に依存する交通システムが交通渋滞を深刻化させ、大気汚染による環境負荷も大きな課題です。今回のレッドラインの開通によって、自動車交通から公共輸送へのモーダルシフトを更に加速化し、増加する輸送需要への対応、交通渋滞の緩和及び大気汚染の改善が図られることが期待されます。

なお、レッドラインの正式開業は今年11月を予定していますが、8月2日の開通をもって全区間での運行が開始され、正式開業までの間は市民に運賃無料で開放されます。現在タイでも新型コロナウイルス感染症が猛威を奮い、外出もままならない状況ではあるものの、今後レッドラインが多くのタイの方々の目に触れ、市民の足として活用されることが期待されます。

(注)2009年3月に630億1,800万円を限度とする円借款貸付契約に調印、さらに2015年6月に382億300万円、2016年9月に1,668億6,000万円を限度とする円借款貸付契約に調印。