コロンボの新しい玄関口 ケラニ河新橋が開通:日本とスリランカの友好の架け橋に

2021年11月26日

ケラニ河新橋の全景

ケラニ河新橋・ライトアップの様子(提供:PMMD)

式典の様子(提供:PMMD)

式典の様子(提供:PMMD)

11月24日、スリランカ民主社会主義共和国のコロンボにおいて、ケラニ河新橋の開通式典が開催されました。式典には、スリランカ側からはゴタバヤ・ラージャパクサ大統領、マヒンダ・ラージャパクサ首相、ジョンソン・フェルナルド ハイウェー省大臣などが、日本側からは水越英明駐スリランカ日本国大使、山田哲也JICAスリランカ事務所長に加え、本事業の建設等を請け負った本邦企業代表者が出席しました。式典では、ゴタバヤ・ラージャパクサ大統領より、「コロンボの交通渋滞緩和に期待。日本の協力に感謝する」とのメッセージが述べられました。

スリランカは、鉄道が十分に発達しておらず、旅客や貨物は路線バスや自家用車、トラック等の道路輸送に依存しています。特にコロンボ市内では、朝晩の通勤・通学時間帯を中心に交通渋滞が悪化しています。市の北側を流れるケラニ河周辺は、バンダラナイケ国際空港や南アジアにおける重要なターミナル港であるコロンボ港と、コロンボ市内を結ぶ交通の要衝であり、既存の橋梁にアクセスが集中し円滑な交通のボトルネックになっていました。このため、交通の分散化と慢性的な交通渋滞の改善に向けて、新たに6車線の橋梁と、橋梁から市内に続く高架の道路を建設することとなり、JICAは円借款を通じて支援してきました。

今回、開通したケラニ河新橋には、質の高い日本の技術が活用されています。橋梁はスリランカで初となるエクストラドーズド橋(主塔と斜材とで主桁を支える橋梁)であるほか、高架の道路の建設では既存道路上の支保工の設置が短時間で済む鋼箱桁方式を採用しています。建設中は、2019年に発生した連続爆破テロや2020年以降のコロナ禍といった困難にも直面しましたが、現場で数少ない女性のプロジェクトダイレクターが1,000人を超える関係者を率いて着実に工事を進めました。また、毎年ケラニ河の水位上昇により冠水被害を受けていた地域周辺の約320世帯の住民が、JICAの環境社会配慮ガイドラインに則って、スリランカ政府が提供した住居に移転しました。日本とスリランカ双方の関係者の着実な取り組みによって完成したケラニ河新橋が、コロンボの新しい玄関口として、スリランカの安定的な成長に重要な役割を果たすことが期待されます。

今後もJICAは、スリランカの質の高い成長の実現に向け協力を推進していきます。