第8回JICA-世界銀行グループ・ハイレベル対話を実施:気候変動等について議論

2021年12月22日

山田副理事長(下)とトロッツェンバーグ専務理事(上)

2021年12月10日、15日に国際協力機構(JICA)と世界銀行グループは、オンラインで第8回JICA-世界銀行グループ・ハイレベル対話を実施しました。両者は、世界の喫緊の課題である気候変動やコロナ危機対応について意見交換し、一層の連携強化を図ることで合意しました。

JICAと世界銀行グループは2014年以降、「ディープ・ダイブ(Deep Dive)」と呼ばれる年次協議で、重点課題と地域についてのハイレベル対話を通じ、連携状況を確認し、協力分野・案件について議論しています。今年は11月から12月にかけて、気候変動、コロナウイルス感染症対策/人的資本、民間セクターファイナンスの3つの課題、及び東アジア・大洋州、アフリカ、中東・北アフリカ、中南米・カリブ地域の4つの地域、合計7件のセッションに分かれて議論を行いました。

これらのセッションの総括として、12月10日に山田副理事長とトロッツェンバーグ専務理事がラップアップセッションを行い、7つのセッションの振り返りに加え、担当役員レベルで継続的に議論をしてきた質の高いインフラ投資、南アジア、欧州・中央アジア地域等のトピックについても意見交換しました。これに続き、12月15日には北岡理事長とマルパス総裁が面談を行い、ディープ・ダイブの総括として、ハイレベルで今後の連携に向けた戦略、協力の方向性について確認しました。両機関は、昨年に続き世界の喫緊の課題であるコロナ危機対応に加えて、気候変動や途上国支援への民間資金の動員等について、一層の連携強化を図ることで合意しました。

気候変動分野に関する意見交換では、11月に開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)の結果も踏まえ、パリ協定の目標の達成のためには途上国の気候変動対策の支援や資金動員が世界的な課題との認識のもと協議しました。その結果、開発途上国自身の計画策定や実施に必要な能力向上や技術支援、再生可能エネルギー等へのエネルギー転換支援の重要性を確認し、気候変動対策資金の動員に向けて共に取り組んでいくことを合意しました。

コロナウイルス感染症対策 /人的資本(保健、栄養、教育等)については、まず保健分野において、治療・警戒・予防体制を強化することを目指すJICA世界保健医療イニシアティブも踏まえ、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)達成に向けた保健システムの強靭性強化や、グローバルレベルの感染症対策にかかる連携強化に取り組むことになりました。さらに、パンデミックの負の影響により、教育機会の喪失、栄養不良児の急増など、これまでの開発努力で達成された成果が損なわれ、かつ、長期的な影響が残りかねないという危機感を共有し、教育や「食と栄養のアフリカ・イニシアチブ (IFNA)」(注)も踏まえた人的資本での連携についてマルチセクトラルなアプローチを含め合意しました。

民間セクターファイナンス及び地域別のセッションでも、それぞれの特徴に応じた気候変動、コロナ対策等が話し合われ、例えば、アフリカ地域では、コロナ対策やUHC達成に向けた円借款での協調や、2022年にチュニジアで開催予定の第8回アフリカ開発会議(TICAD 8)でのサイドイベント共催等、人的資本やデジタル化、地域統合、グリーンエネルギー分野での連携を検討していく方針等が議論されました。民間セクターについても、引き続き協調融資案件を積み上げ、2017年のMOCにおいて掲げられた、15億ドルの目標額に向けて協調することが確認されました。

両機関は、今後も様々なレベルでの対話継続・連携強化を通じて質の高い成長と人間の安全保障の実現に努めていきます。


(注)IFNA(The Initiative for Food and Nutrition Security in Africa)は、TICAD6 (2016年)にて発足したイニシアチブ。アフリカ各国と支援機関が連携を深め、2025年までの10年間にわたり栄養改善に取り組むもの。

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