インパクト投資ファンドへの出資を通じて 社会・環境面の課題解決に取り組むインドの中小企業を支援(海外投融資)

【SDGsロゴ】貧困をなくそう

【SDGsロゴ】働きがいも経済成長も

2021年12月24日

1号ファンド出資先①:バイオマス発電事業(燃料として活用される農業残渣の回収作業)

1号ファンド出資先②:乳製品の製造・販売事業

2号ファンド出資先(予定):排ガス回収機器

国際協力機構(JICA)は、12月24日、インド最大の国営銀行であるState Bank of India(SBI)傘下のSBICAP Ventures Limited(SVL)がファンドマネージャーを務めるSVL-SME Fund(通称:Neev FundⅡ)との間で、21.4億インドルピー(約32億円)の出資契約を締結しました。JICAの出資金は、インド国内の社会・環境面の課題解決に取り組む中小企業への出資金に充当されます。

インドでは急速な経済成長と人口増加が続いていますが、2019年時点の失業率は5.27%と他の南アジア諸国と比較して最も高く、持続的な社会経済の成長にむけて新たな雇用の創出が重要課題となっています。同国には6,338万社(2020年)の中小企業が存在し、GDPの31%、輸出の45%を占めるとともに、労働人口の約25%にあたる約1億2,400万人の雇用を生んでおり(2018年)、雇用の創出に重要な役割を担っています。一方で、同国の中小企業は資金調達に課題を抱えており、出資金における需給ギャップは約2,830億ドル(2017年)と、積極的なリスクテイクを伴う新規ビジネス開拓などの業務展開が難しい環境にあります。本事業は、再生可能エネルギー、気候変動対策、環境改善、持続的な農業、都市交通、水・保健衛生等のビジネスを行うインド国内の中小企業の事業拡大をサポートすることによる雇用創出に加え、同国におけるESG(Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治))の課題解決及びSDGs(持続可能な開発目標)のゴール1(貧困をなくそう)及びゴール8(働きがいも経済成長も)の達成に貢献するものです。

SVL-SME Fundは投資による経済的なリターンとともに社会及び環境へのインパクトを追求するインパクト投資ファンドで、国内外の金融機関と連携して投資先のESG対応改善を支援したり、投資を通じたインパクト評価体制を有することが特徴です。2015年にインドのモディ首相と英国のキャメロン首相(当時)のイニシアチブで1号ファンド(Neev FundⅠ)を設立し、特にインドの低所得州でビジネスを実施する中小企業に支援を実施した実績を持ちます。今回JICAが出資するNeev FundⅡはその後継ファンドとして位置づけられます。

JICAは、本ファンドとの連携を通じて得た知見・ネットワークを活かして、今後も新興国において社会課題の解決に取り組む中小企業・ファンドへの支援を継続して参ります。