タイ向け技術協力プロジェクト討議議事録の署名:PM2.5による大気汚染の予防・軽減を支援

【SDGsロゴ】1住み続けられるまちづくりを

2022年2月25日

本事業の日本・タイの関係者

国際協力機構(JICA)は、2月25日、バンコクにて、タイ王国政府との間で、技術協力プロジェクト「持続的なPM2.5予防・軽減のための大気管理プロジェクト」に関する討議議事録(Record of Discussions: R/D)に署名しました。

近年、タイにおいてはPM2.5(微小粒子状物質)による深刻な大気汚染が発生しており、国民の健康・生活の質への悪影響が顕在化しています。焼き畑農業、工業化、都市化及び国外からの越境煙霧等、発生源は多様であると想定されますが、気象・地理的な条件が重なり、1年間のうち特定の時期に深刻な大気汚染が観測されています。バンコク都及びその周辺県では、主に乾季にPM2.5による汚染が深刻化し、特に1~2月は、タイ政府が定める大気環境基準を大幅に超過する傾向にあります。タイでは大気汚染状況のモニタリング体制の整備は進められています。しかし、PM2.5による大気汚染の予防・軽減に向けて、モニタリング結果に基づき大気汚染の発生要因及び構造を解明し、得られた情報・データを踏まえて効果的な大気汚染緩和策の立案・評価を行うことが課題となっています。また、大気汚染対策は国境を超えた連携も重要であることから、タイは、ASEAN越境煙霧汚染協定の締約国の一つとして、周辺国の取り組み強化に向けた貢献が期待されています。

本事業は、タイのバンコク都及びその周辺県において、PM2.5による大気汚染の発生源インベントリ(地点別、物質別の大気汚染物質発生量の情報)を改善し、気象・地理的条件との関係を踏まえたシミュレーションモデルを構築することで、汚染構造評価能力を強化し、PM2.5による大気汚染のより効果的な予防・軽減対策の立案・実施を目指し、またタイ国内及び周辺諸国に知見の普及を行うものです。SDGs(持続可能な開発目標)ゴール11(住み続けられるまちづくりを)に貢献します。


案件の詳細は以下の通りです。

【案件基礎情報】
国名 タイ王国
案件名 持続的なPM2.5予防・軽減のための大気管理プロジェクト
実施予定期間 36ヵ月
実施機関 天然資源環境省公害管理局
対象地域 バンコク首都圏(バンコク都及び周辺5県(ナコーンパトム県、パトゥムターニー県、ノンタブリー県、サムットプラーカーン県、サムットサーコーン県))
具体的事業内容(予定) 以下の取り組みを通じて、PM2.5による大気汚染を予防・軽減するための対策の立案・評価の能力強化を図り、大気環境の持続的な管理を促進する。
・PM2.5による大気汚染の発生源インベントリの改善
・シミュレーションモデルの構築、汚染構造の評価
・汚染対策の策定・評価
・国内及び周辺諸国への知見・経験の共有