タイ「チャオプラヤ川スマートフェリー導入事業」に対する融資契約の調印 (海外投融資):バンコクの大気汚染軽減と都市環境の改善に貢献

【SDGsロゴ】1住み続けられるまちづくりを

【SDGsロゴ】1気候変動に具体的な対策を

【SDGsロゴ】1パートナーシップで目標を達成しよう

2022年4月27日

導入される電動フェリー

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、4月27日、タイ王国のE Smart Transport Company Limitedとの間で、プロジェクトファイナンスによる融資契約を締結しました。本事業は、スポンサー企業であるEnergy Absolute Public Company Limited(タイ)が出資し、首都バンコクのチャオプラヤ川に大気汚染物質を排出しない電動フェリー27隻を導入することで、バンコク首都圏の大気汚染や都市環境の改善に寄与するものです。本事業は電動フェリーをASEAN地域において商業ベースで大規模導入する初の案件となります。また、本事業はアジア開発銀行(ADB)、ADBが管理するクリーンテクノロジーファンド(*1)、及びタイ輸出入銀行との協調融資により実施します。

バンコクでは、移動手段をディーゼルエンジンのフェリーや公共バス、ガソリン自動車に大きく依存しており、大気汚染や交通渋滞等の都市環境問題が深刻化しています。JICAはこれまで都市鉄道の整備のための円借款の供与や、バンコク首都圏の交通整備計画の策定、PM2.5等大気汚染の予防・軽減に関する技術協力等の実施を通じ、バンコク首都圏におけるクリーンな公共交通整備と大気汚染対策を支援しています。

バンコクを縦断する主要河川であるチャオプラヤ川では、バンコク市民の足として毎日約5万人(2019年。コロナ禍前の水準)が利用するディーゼルフェリーから窒素酸化物(NOx)やPM2.5が排出され、大気汚染の要因の一つとなっています。本事業はチャオプラヤ川に電動フェリーを導入・運行するもので、バンコク首都圏の大気汚染や都市環境問題の改善に寄与することを目的としており、SDGs(持続可能な開発目標)ゴール11(住み続けられるまちづくりを)、13(気候変動に具体的な対策を)、17(パートナーシップで目標を達成しよう)に貢献します。

Energy Absolute Public Company Limitedは、タイ国内で太陽光・風力発電やクリーンエネルギー製造、電気自動車の充電ステーション整備等に取り組む代替エネルギー分野におけるリーディングカンパニーであり、本事業がバンコクにおける他の交通モードの電化普及につながることが期待されます。

なお、本事業はJICAが2012年に海外投融資を再開して以降、タイにおいて初めて行う海外投融資による直接融資であり、また「対ASEAN海外投融資イニシアティブ(*2)」におけるグリーン投資促進に資する事業です。

(*1)クリーンテクノロジーファンドは、発展途上国で実施される、温室効果ガス排出削減効果が高い事業に対して資金を拠出する基金。

(*2) 対ASEAN海外投融資イニシアティブ